さしあげもの

□会えないけれど、おめでとう!!
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この事は、骸様と私だけの秘密。
クローム、クロームと私の頭の中で骸様が言ったの。
でも、すみません骸様……
今だけは背きます…。


「骸様は、きっと隼人君が来るからって私ともあまり話さなかったの」

「え、」

「でも、どうしても駄目だった。少しだけ、時間が足りなかったの」

「それって……」

「ちょっとだけ……頑張ろうとしてたけど、無理だった」


そう、骸様は獄寺隼人が今日。
ここに来ることを分かっていた。
きっと来るから、僕も力を使ってはいけませんね、と。


「無理をしたら負担が大きくなる…だから、私も止めたの」


黒いバッグのチャックを開けて、中から赤い箱を取り出す。


「だから、せめてこれだけでもって……骸様から」


はい、と言ってその赤い箱を獄寺隼人に手渡す。
手渡した時に触れたその手は、少しだけ震えていた。


「骸様からよ…大事にしてくださいねって笑ってた」


その震える手が、赤い箱を開ける。
そして中から出てきたのは、


「こ、れ……」

「私が、骸様と一緒に買いに行ったの…着けてあげる」


中に入っていたのは、穴を開けなくても良いピアス。
それを獄寺隼人の手から取って、軟骨のあたりにはさめた。
銀色の髪に銀色のピアス。うん、凄く綺麗。


「そして、これも骸様から」


ごそ、とバッグのポケットから出したのは、
獄寺隼人のつけている物と同じピアス。


「これは、僕と隼人君はいつも一緒ですよって、骸様が」


バッグを端において、今度はそれを自分の耳につけた。
骸様じゃなくてごめんなさい。
私でごめんなさい。
でもね、聞いて。


「骸様はいつでも貴方を感じてると言った」

「そ、んなん……俺だって…」


今まで驚いてばかりの獄寺隼人が、口を開く。
俺も、なぁに?俺も骸様を感じてるって言いたいの?
骸様、貴方が今……凄くうらやましいです。
彼に好かれているんだもの。
彼に求められているんだもの。
今ここに居るのが骸様じゃなくてごめんなさい。
私で、ごめんなさい。


「っていうか何だよこれじゃあ逆じゃんかよー…」


ずるずる、とソファからもたれ落ちて、獄寺隼人は寝転んだ。
さらさらと重力に従って銀色がこぼれる。
それと同時に銀色のモノが見えて、


「綺麗……」


思わず、口に出してしまった。
そしたら獄寺隼人はきょとん、としたあと、ふっと笑った。


「あぁ、お前も似合ってるよ、クローム」


ねぇ骸様。
今の彼の笑顔が見えますか?
彼は骸様の為に隣町まで来てくれたんですよ。
誕生日プレゼントを渡そうと、わざわざこんな所まで。
なんだか私が得した気分です。


ねぇ骸様。
来年はこの笑顔……
来年こそ、一緒に見ましょうね。




【会えないけれど、おめでとう!】



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シガスカ様への献上品です。

シガスカ様とは...A Cigarette Of The Skull。
いわゆる骸獄同盟様なのです!!
色々と素敵な作品が沢山です><
今回は私も参加させていただきました。
ありがとうございましたー^^*
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