さしあげもの

□1859打小説
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「、ねぇ隼人」

「ひっ…」


しかし目をつぶっていた為雲雀が立ち上がったことが分からなかった獄寺は、
いきなり自分の名を呼ぶその声に驚いた。
クロームに向けていた顔を雲雀のほうに向けると…


「ひぃっ!!」


先程よりも確かな声で覚えを見せた。
だって、雲雀が満面の笑みで笑っていたのだから…。


「ひ、ひば…、」

「隼人はちょっと避けててね」


そういうと、雲雀は獄寺を押しのけてクロームの目の前に立った。
雲雀は立っているためクロームを見下ろし、
反対にクロームは座っているので雲雀を見上げる状態になっている。
しかしそんな状態でもクロームは怯むことを知らず、
持っていたスプーンをプリンの容器に刺すと声に力を入れて「何、」と言葉を発す。


「君、人の恋人に何してくれてるの」

「ひ、ひばり?!」

「誰の恋人とか……そんなの私には関係ない…」

「関係なくもないだろう、隼人は僕としか喋っちゃ駄目なんだよ」


段々とヒートアップしてきている双方のオーラが、痛いほど獄寺に刺さる。
止めようにも雲雀は冷徹に怒り
クロームも決して声を荒げずに対抗しているのだ。
今ここで獄寺が止めに入ってみろ。
獄寺を挟んで喧嘩をするに違いない。


「隼人は、自由……」

「僕の腕の中だけでね」


暴走していく雲雀の羅列に、クロームはむっと顔を歪ませた。
持っていた黒いバッグをぎゅうと抱き、違うと言い放つ。


「違う、隼人は自由。誰にも束縛される事は、許さない」

「何で君がそこまで言うわけ…」


あからさまに不機嫌な様子を見せる雲雀は最早、鬼の形相だ。
対してクロームも、いつもの可愛い表情が怖いものとしかなっていない。


「隼人は自由だからこそ綺麗なの」

「分かったような口を聞くな」


今すぐにでもトンファーを出しそうな雰囲気に、獄寺はおろおろするばかり。
流石の雲雀も女子には手を出さないだろうと思っていても、
やはり普段の雲雀の行動では説得力を持たない。


「隼人は僕がいてこそ、だよ」

「どうして貴方もそこまで言えるの……」


そういった途端、クロームがじゃきんっと武器を繋ぎ合わせた。
その行動に雲雀は「ふぅん、やるの?」を鼻で笑う。
そして獄寺は、まさかと言う目で見開いた。


「クローム!!それは駄目だ!!」

「隼人は黙ってて。雲雀恭弥は、隼人には危険よ」

「君の方が危険だな。咬み殺す」


そういうと、今度は雲雀まで武器を取り出した。
こうなっては誰も止められないだろう。
喧嘩の根本、獄寺隼人以外は。


→.
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