さしあげもの

□8600打感謝小説!!
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あったかい。

そう肌で感じ取れるくらいの気温になった。
晴れているし、気持ちがいいんだろう。


「いい加減にしろ、骸」

「・・・すみません・・」


だろう、というのはつまり、俺はそう感じていない。
むしろ俺の周りだけ雨が降っている。
それはむくろの幻想何だと簡単に予想がついたが何分そんな事をされるような理由が見つからなかった。


「何で、俺の周りだけんな事すんだよ」

「・・さぁ」


さぁ、って。
今日何度目かの溜め息をついた。
骸は雨を降らせてるだけで、特に俺に何かをしてくるわけでもなかった。
雨、と言っても濡れてもないし。


「・・・はぁ・・」


今度は骸に突きつけるようにして溜め息を吐いた。
その行動に対して骸はびくっと肩を震わせたが、雨が止む気配はない。
あぁ、また雲雀に怒られるだろうか。
そんなんだから隙ができるんだよ、と。
また、十代目を苦笑させてしまうだろうか。
獄寺君は、優しすぎるよ、と。

いいえ、いいえ。
十代目、俺は優しいわけではないんです。
何だか骸を見てると俺が重なって見えるんです。
だからな、雲雀。
そんなだから隙が出来るんだよと言うならば、俺はいつだって隙だらけだ。


「骸、」

「・・・何ですか・・?」

「俺ん家来い、今から」

「・・・・・・ぇ、」


ほら、と言って骸の腕を引っ張った。
雨は術者を連れてるわけだから止まないけど、実は雨は嫌いじゃない。


「もしあれだったら犬とか千種とかさ、あとクロームも呼ぼうぜ、ほら」


早く、と急かして足早にさせる。
その間の骸は呆けていて、あぁ撮っとけば良かったとか思ってしまった。



骸、骸

お前は一人じゃないよ

犬が居る、千種が居る、クロームが居る

俺だって居るじゃんか

だからさ

こんな


こんな事しなくたって、一人じゃないんだって。



end


(どうしたら、分かってくれる?)


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