さしあげもの

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こんこん、と戸を叩く音がする。

あぁまた今日もかな、なんてどこか冷静な自分と今日こそはあのドアが開いたときに逃げれるかなと思う自分がいる。

手には鎖、足には枷。

首をくくりつけられてないだけ未だマシかもしれないが、四肢が封じられてる今は窮屈に思えて仕方が無い。


「隼人君、おきて・・・ましたね」


にこりと笑う骸に俺は笑いかけるしかなかった。
手にはパンとあったかいスープ、そして色とりどりなサラダ。
窓が無く時計も無いこの部屋は時間の動きと言うものが分からなくて、骸が持ってくるこの食事の時間だけが唯一の「時間」と呼べるものなのだろう。


閉じ込められて一週間目、その時既に時間間隔は無かったけど。


「今日はコーンスープにしてみましたよ、さぁどうぞ」

「・・・ん・・」


手に付けられてる鎖が外れる事は無く、骸の差し出すスプーンに口を付けた。

するとコーンスープからすることは無いであろう味が口の中を占める。
少しの××と、×の味。


「・・・・むく、ろ・・」

「くふっ、ばれちゃいましたか?今日はちょっと味にこだわってみたんですよ、」


隼人君にとってどうでもいい人ならば美味しくも無いでしょうし・・・
そう、当たり前のようにいう骸に俺はもう違和感を感じなくなっていた。
今日は誰が×××たんだろう、今日は誰が傷付いたんだろう。
もうそんな風にしか考えれなくて。


「・・・っ・・!!」

「隼人君?どっどうしましたか!!?吐きそうですか!!?ちょっと待っててくださいね!!」


慌てて部屋から出て行く骸。
大方洗面器か何かを取りに行ったのだろう。
床に落とされたスプーンからは、この薄暗かった部屋からは分かる事の無いうっすらとした×色が見えた。
骸は慌てすぎてドアを完全には閉めていかずにそのほんの少しの光で見えたもの、だが。
あぁ、見たくも無かった。
誰の×××かなんて知りたくも無い。



閉じ込められて一ヶ月、隼人君にとって一番大事な人はと聞かれた。



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