さしあげもの

□5959打感謝小説!!
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雲が流れてる。

ゆっくりゆっくり、雲が流れてる。

あれはクジラ、あっちはアイスなんてそんな思考にはならないけれど、自由な雲は好きだね。


「あぁ、でも少し寒いかな」


ここは屋上、今は放課後。
少し茜色になってきたこの空はきれいだけれども、肌寒くも感じる。


「こんな所にいるからだろ…」


さて帰ろうかなと腰を上げようとしたとき、後ろから声をかけられる。
振り返らなくても分かるこの声、話し方、この子の雰囲気。
僕は雲を見るよりこの子を見ていた方が好きな気がする。


「今日は空が綺麗なんだよ、隼人」

「あぁそうかよっ、さみーっ!!」


外国育ちの彼にとって、この日本の気温は合わないのかもしれない。
気温と言うか気温差と言うか。
それでも僕の隣に座って身を寄せてくる隼人が可愛いと思う。


「隼人、風邪ひくといけないから中入ろうか」

「なんだよ、今日は空が綺麗なんじゃねーの?」


少しつまらなさそうに唇をとがらす隼人は、うん、応接室に行きたくないらしい。
あそこに行ったら僕が風紀委員につかまって仕事をしてるのが嫌なのかな?
隼人が居る時は仕事はしないって言ってるのに(隼人は委員の人たちが可哀想って言うけど)。


「……まぁいっか、風邪ひいたら看病してあげなくもないよ」

「なんだよそれ、つか雲雀は看病してくれそーじゃん!!」

「………そう、」


無意識な彼は少し、自由な雲と似ているのかもしれない。

あぁ、だから見ていて飽きないのかな。



end

(優しい態度、君だけだって分かってる?)



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