さしあげもの
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ジャッポーネの夏は暑い。
イタリアだって暑くなるけど、それでもジャッポーネよりは蒸してないからまだマシだ。
応接室の冷たく、それでも熱を集めてしまう黒い革張りのソファが夏のお気に入り。
「んあー…」
インナーの上にカーディガンを羽織って、下はジーンズの短パンと言う夏らしい服は露出が多すぎるって雲雀に怒られた。
そこらへんの女子よりは発育がいいらしい俺は、まぁそれなりに胸はある。
雲雀曰く君は腰のくびれが素敵だねと変態発言をされた俺としては露出を控えたいが、それを夏の日差しは許してくれない。
「…あー……」
暑い暑いと言いながらもソファに寝転がっていたら、何時の間にか寝ていたようだ。
朦朧とする意識の中、夢の世界に入る前に見た雲雀が居るであろう場所を見ると……
「い、ない…?」
否、違う。
居ると思った場所に居なかっただけで、本人は誰かと口論していた。
(骸、かな)
ごろん、と仰向けだった体勢をうつぶせにする。
すると少し長くなった髪が、さらさらと重力にそって落ちてきた。
君の長い髪を見てみたい、雲雀がそういったから伸ばそうかな、なんて考えて。
そんな考えをもつようになった乙女思考の自分に、少しだけ笑える。
(そろそろ、止めなきゃ…)
いつまでも放っておいたらきっと、それぞれの武器を出して草壁さんが泣く事になるだろう。
いつも優しくしてくれる草壁さんにそんな事はさせたくないし、ていうかきっと俺のせいでけんかしているんだろし。
別にまだ、雲雀と付き合うとも骸と付き合うとも俺は言ってない。
それでも僕のだ君のではありませんと言い張る二人は、傍から見てて少し面白い。
さて、と一息ついて、ソファから飛び降りた。
すると二人の視線が一気にこちらに向く。
何そのシンクロ、と思って少しだけ笑ってしまった。
(そんな二人が大好き、かも)
end
→.後書