さしあげもの

□3000打感謝小説!!
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「むっくろぉおお!!」


今日も元気よく、獄寺の住むマンションから怒鳴り声が聞こえた。
叫ばれるのはいつも同じ人物の名前で、それを止めに入るのも同じ人物。
近所の人は「またか」と息を吐くが、誰も文句を言える人は居なかった。


「っ、おまっ、いっつもいっつも…!!」

「くっふふ、そんな怖い顔しないで下さいよ隼人君っ」

「六道…君はまた何をしたの…」


洗濯物を取り込む為、ベランダへと行った獄寺はいきなり叫び出したのだ。
そしてずかずかと最早居る事に対して疑問を持たなくなった骸の所へ怒りながら向かった。
そしてその叫び声を聞いた、こちらもまた居る事に違和感を覚えなくなった雲雀が台所から顔を覗かせた。


「今回は一体何してくれたの、六道…」

「おや、それではまるで…いつも僕が何かしているみたいな言い方じゃないですか…?」

「実際そうなんだろ!!」

「で、隼人、何されたの?」


片手にお玉、片手に菜ばしを持ち、黒のエプロンを身につける雲雀は獄寺に問うた。
すると獄寺はきっとベランダの方を指差し……


「俺の下着が無い!!」


と骸に叫んだ。
すると骸の頭にはお玉がごんっと音を立てて叩きつけられる。
こん、といった軽い音でもお玉は痛いと言うのに、ごんっと鳴ったとしたら……


「くふ、くっふふふ……ぐふっ…ぐすぅっ…!!」


頭を抱えながら、骸はもがき苦しんだ。
しかし獄寺は少し心配そうにしながらもいい気味だ、と鼻で笑い、返せと手を差し出す。


「ん、早く!!」

「とは言われましてもねぇ…」

「何、ここまできて出さないつもり?」


もう一度くらいたいのかな、とお玉をすっと上げる雲雀に、骸はちょっと待ってくださいよと静止をかけた。
獄寺はきょとんとして、お前じゃねぇの?と疑いをかける。


「否、まぁ今回は僕なんですがね」

「今回も、だろ!!」


そっとポケットから出してきた下着を獄寺は奪い返し、骸に一発蹴りを入れた。
しかしその足は掴まれて、なんとも変な体勢になる。
その体勢は雲雀にとってはよろしくなく、すぐに骸と距離をとらされたのだが。


「いえね、まぁ僕は僕なんですがこうもまぁ…疑いをかけられすぎると逆にしたくなると言うか、ね☆」

「ね、じゃねぇよ変態!!」

「そうだよ変態、いくらかわい子ぶりっ子したって変態は変態なんだよ変態」

「くははっ、変態変態言いすぎですよ!!」


いい加減泣いちゃいますよ!!と泣きまねをする骸を今度こそ獄寺は蹴り、お前かいい加減にしろ!!と怒鳴った。


「まぁまぁ、僕の意見も聞いて下さいよ」

「聞く耳持たなくていいからね、隼人」

「んー」

「さ、ご飯にしようか」


こんな光景が、いつまでも保たれますように……
獄寺はテーブルを囲む雲雀と骸を見て、ひっそりとそう思った……



end

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