さしあげもの

□会えないけれど、おめでとう!!
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「なぁクローム……骸は…?」


彼が、私の元へと尋ねてきた。
場所は黒曜ランド……そう、あの場所。
犬と千種はどこかに行ってしまってて、正直暇だった。
でもそんな暇も嫌いじゃなくて、ソファでお昼寝しようとしたら……

太陽と一緒に、銀色が、視界に入った。


「あー、勝手に入って悪かったな…?」

「ううん、いい、骸様も喜ぶ……」

「そ、か…ってアイツらは?」

「……知らない…」


いつも持ってる黒いバッグを持つ手が、少し強くなった。
淡々と言えてるつもりでもやっぱりどこか、寂しいなんて。
自分の行動に少し考えていたら、私の横に、少しの重みが加わる。
そう新しくないソファのスプリングが鳴って、私の心も少し、鳴った……


「な、に…?」

「骸、今出てこれねぇんだろ…?」

「…うん……」

「あーあ、折角会いに来てやったのになー…」


呆れたような顔をして、ズボンのポケットから煙草を取り出す。
その姿が凄く大人びて見えて、でも逆に少し……悲しい。
彼の武器の所為で彼の寿命を縮めるなんて。
許せない。そんな、煙草の所為でなんて。


「あ、わっわり…」


なんて思考を巡らせていたら、勘違いをしたのか火をつけるのを止めた。
私が煙草を睨んでいたから、きっと私が煙草を嫌いだと思ったんだろう。
あぁ、骸様……彼はやっぱり優しいです。


「骸様……誕生日なのに…」

「んー、だから来てやったんだぜ?そしたら出てこれないとか…」


馬鹿な奴ー、と獄寺隼人は呆れたように笑った。
でも、違う、本当は彼だって会いたいんだ。
骸様がこの世に生を受けたことを、彼だって祝いたいんだ。
その証拠に、煙草とは逆のポケットが不自然なふくらみをしている。


「本当はね、骸様……今日の為に力を使ってなかったの」

「………は?」



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