さしあげもの

□2000打感謝小説
1ページ/1ページ



僕の髪を風が通る。
カーテンをなびかせながら書類までもを舞わせる風は、


「咬み殺したい…!!」


いらいらしている時に何でこんなに書類が飛ぶの
書類の紙の癖に僕を使わないでくれるかな
むしろ紙が自分で歩けばいいと思うよ…!!


あぁ、いらいらし過ぎて思考が可笑しいね。
それはあいつらの所為なんだけどね…!!


「うっざい…!!」


隼人は今、珍しく体育の授業に出てる。
どうしてかって?
あのにくったらしい沢田綱吉がたぶらかしたからだよ!!
廊下で隼人と話している時に
「あれ、獄寺君授業に出ないの?」
なんてわざとらしく聞いてきて、
「あ、次は体育なんで出ないでおこうかと…」
そう言った隼人に、あいつなんて言ったと思う!?

「でも俺、獄寺君にサポートして欲しいんだよなぁ」

何あのこおおおおお!!!
本気で咬み殺したかったよ!!
大体、何、何あいつ…!!
そんな風に沢田綱吉から言われた隼人は、目を輝かせて行ってしまった。

応接室に戻ると大量の書類はあるし
グラウンドから飛んだボールがどこかの窓一枚を割ってくれたらしいし
風が強いから髪がなびくは紙が舞うわ
窓を閉めたらむわっとしてるから閉めれないし
窓を開けてるせいで隼人が楽しそうにしてる声が聞こえるとか…!!


「草壁!!」

「だめです」

「何が!!」

「グラウンドに行って獄寺隼人を連れ戻すのでしょう」

「そうだよ」

「だめです」

「何で」

「獄寺隼人に止められていますから」


なんなんだろうこの攻防は。
ちょっと待って、僕の行動が隼人に読まれてる。
否以心伝心?そこは嬉しいんだけど「止められている」って何。

持っていたシャーペンをぼきっと折ってしまい、血が出てた。
その血が書類を一滴一滴染めていって、なんかもう残念だ。


「草壁、新しい書類」

「へぃ、これです」

「あと絆創膏」

「へぃ、こっちです」


仕方ないと開き直りながら、椅子に座りなおした。
貰った絆創膏をはろうしたその時、また風が通る。


「……隼人?どうしたの?」


息を切らした銀色が、黒を見つめた。
その額には汗が滲んで、呼吸が乱れている。


「授業は?」

「ち、がう……怪我は?」

「え?」


怪我はないのかと言いながら近寄ってくる。
切ったほうの手を取られて、まじまじと見られた。
絆創膏を張っていない傷口は、容赦なくじくじくと痛んで血を流させる。


「隼人、絆創膏はりたいんだけど…?」

「……だめ、消毒…」


そう言って手を口に持っていき……
血を、舐めた。


「隼人!?」

「何で怪我してんだよー…心配したじゃねぇかー…」


舐め終わった後、隼人はずるずると僕にもたれかかって抱きついてくる。
その様子に不安だったことが分かり、よしよしと頭を撫でてあげた。


「ごめんね隼人」

「本当だ!!人には怪我するなとか言っておいて!!」

「これは不可抗力、君が僕の傍に居ないからだ」


そういうと隼人の顔が少しだけ朱に染まる。
そうして一言、呟いた。




雲雀だって、俺のもん…!!



end

(そういえば、どうして怪我したって分かったの?)

(何か草壁さんから風紀委員に連絡まわしてて、俺に来た)

(草壁GJ!!)

(任せてください!!)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ