BASARA
□政宗と佐助
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天井裏に、ひとつの影。
息を潜めて、気配を殺して。
こちらに存在を気付かせないようにしているはずなのに、どこかでこちらに自分の存在を気付かせようとしている。
ちらりちらりと漏れ出す気配。
「(…Oh...忍のくせに何してやがる)」
その天井裏の影は別段殺意をこちらに向けているわけではない。
こちらの命が目的なわけではないのだろう。
…が、それにしてもこの弛み過ぎて駄々漏れな気配はどうにかならないものなのか。
もはやというか既にというか、天井裏に何者かが潜んでいてその気配がどのあたりにいるだとかそれが誰であるだとかはもう明白だった。
更に言うと潜む必要性が感じられないのだが、それでもまだ天井裏の影は動こうとはしなかった。
すると、天井裏ではなくこの部屋の外の気配が動き出す。
たたた、と廊下を蹴る音がするとそれはこの部屋の前で止まった。
「政宗様、ミーティングのお時間です」
「Ah...もうそんな時間か」
OK,meetingだな、すぐに向かう、と戸の外の小十郎に返した。
が、小十郎はなかなかそこから立ち去ろうとしない。
どうやらこの部屋から漏れる他人の気配に気付いているようだ。
さすが小十郎だ。
右目の名は伊達じゃねぇ…と言いたいところだが、こうもばればれだと何とも言い難いな。
「小十郎、案ずるな。追っ払ったらすぐにでも行く」
「…ですが、」
「小十郎」
「……承知しました」
少し強めに言うと小十郎はすぐにそこから立ち去る。
その気配が完全になくなってから、今も気配を感じる天井を仰ぎ見た。
「…Hey,俺に何か用があるのか」
「・・・」
気配は動かない。
ただ、声を掛けられたことでそれは僅かに揺れた。
「そこにいるのは分かってんだ」
「・・・」
降りてこないつもりか?
ったく、とんだ恥ずかしがりな狐だぜ。
強硬手段に出るか。
致仕方ねぇな。
「…ま、用がないなら構わねぇがな。これから俺はmeetingがあるんだ。用があるなら早くしてくれ。急いでいるが…そうだな、10秒だけ待ってやる」
「…っ」
途端、ふわりと得意な瞬身の身のこなしで俺の背中には一人分の重み。
追い込まねぇと出てこないんだから困った野郎だ。
「なんだ、随分と積極的じゃねぇか」
「…真田の旦那に俺様の分の団子食べられた」
「……そうかよ。…それで本題は?」
一言目は至極どうでもいいことだ。
先を促すと、目にも鮮やかな橙の髪を俺の首筋にこすりつけながら猿飛はぽそぽそとそれでね、と言った。
「竜の旦那に会いたかったから来た」
そうだ、その言葉が聞きたかったんだ。
口ではそう言ってやらないくせに、身体だけは素直に猿飛の肢体を抱き締めていた。
storto
うちの忍はマゾだったりツンデレたり。
そしてうちの筆頭もM(!)だったりツンデレたりするのでこの二人がハグ以上先に行くことはないと思います。
その割にラヴラヴしたりする。