BASARA

□光秀と佐助
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ばれた。



‐‐誰に?



明智さんに



‐‐なにが?



明智さんに黙って、竜の旦那のところへ行こうとしていたこと。



























「おやおや…私に黙って籠から出てきたのですね」



そう言って俺様を見つけた時の顔と言ったら「歓喜」以外の何物でもないと思った。

有無を言わせずどこかの部屋に連れて行かれ、あれよあれよという間に両手両足の自由はすべて奪われていた。

病的な白い肌に禍々しい黒い装束を身につけたその人は毒々しい赤の舌をチラつかせてふふふと嗤う。

ここから出て行こうとしたのは仕える主から言い渡された仕事があるのだから仕方がないだろうと言ったところで通じるわけがない。



「ふふ、ふ……かわいらしい…反抗期ですか?」

「あ、あのね明智さん、俺様仕事が」



あるんだけど、と精一杯伝えようとしたのだが、ふふふと嗤うばかりで俺様の話を聞いてくれているようには到底思えない。

ていうかむしろ聞く気がないんだ。

この人にとっては、俺様がここを無断で出て行こうとしたという事実だけで充分。



「ふふっ、どうお仕置きすればあなたは私の言うことを聞いてくれるのでしょうねぇ」

「っ…」



鋭い指先ががちゃがちゃと武装した脚の上を這う。

武装したそこからただの布の上に指が降り立つと、その中にあるお世辞にも柔らかいとは言い難い腿を揉むようにつかまれた。



「あなたは…私の言うことも聞かずに此処から出て行こうとしてしまいました」

「っ……」



ぎちぎちと布ごと脚に爪が食い込む感触。

痛いのに、痛いはずなのに、抵抗すらできないこの感覚はなんだ。



「言うことを聞けないあなたのその脚……邪魔ですねぇ…切り取って差し上げましょうか」



つつつ、いつもこの人が振り回している鎌の切っ先が足を覆っている布を切り裂いて地肌に触れる。

ああ、斬られてる。

足の薄皮一枚が裂けている。



俺様の脚を切り取る?

…なんてことを言うんだこの人は。

そんなことをしたら俺様の脚は明智さんのものじゃないか。

それって、素敵だ。



「あ、っ」



すらっと鎌が引かれて、ぴりりと痛んだ足。

足はまだくっついているから、きっと俺様の反応を見て愉しんでいるのだろう。



「ふふふ、そんなにうれしそうな顔をしないでください。冗談です」

「…なんだ、冗談…」

「今はまだ、外の世界を跳ねまわるあなたを捕まえることに快感を感じるのですよ」



そう言って、裂けた腿の血を血以上に赤い舌で舐めてくれた。

瞬間、背筋も凍るほどのなにかが奔る。

明智さんは俺様を一瞥すると、瞳の奥に妖しい何かを光らせて頬に触れてきた。



「とにかく、此処から無断で出て行こうとした…その罰は与えなければいけませんね」



がりがりがり、爪で引っ掻かれ、破れる頬の肉。

そこから滴る血に唇を寄せて明智さんはふぅっと囁くように言った。



「あなたは大抵のことでは悦んでしまいますから」



そうですね、と一息置いて



「…今日は焦らしてあげましょうね」



いつも狂ったように愛してくれる明智さんが恋しいと思ったのは、きっとばれてるんだろうな。








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