小咄


□笑わないで
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なんだってこんなオッサンに思いを寄せてしまったのかと常々疑問に思うが、学校説明会で見掛けてしまったのだから仕方ない。

それからというもの見学に行き、文化祭に行き、多少ながら志望校のレベルを上げ、試験日には声を掛け、入学式には既に顔見知りと言う状況まで持っていった。


正直、自分がこんなにも人に執着するだなんて思ってもみなかった。



話すうちに副業として趣味の小説を出版している事を知った。そして、僕の持つ本の大半が彼の著書だという事も。



そんな彼に猛アピールの末、教え子から恋人へとあっという間にステップアップし、訳有って条件付きではあるが一つ屋根の下で暮らしている。


教師と生徒という特殊な間柄、共に暮らす事が出来たとはいえ其れを公に言い触らす事も出来ず(必要とあらば遠縁だと嘯く)、彼の社会的地位を守る為二人の関係も知られてはならない。恐らく他教諭には優等生の僕が敬い慕っているのだと思っているはず。



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