お品書き
□陽のあたる場所
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可もなく不可もなく
暑すぎず
寒すぎず
日差しかて陽気や。
せやけど
つまらん。
あんたがおらな
つまらんのや。
『陽のあたる場所』
春爛漫の桜吹雪は暖かい雪のようで。
「掌に桜の花弁が落ちて捕まえられたら、想い人と結ばれる」
って誰かが言ってたのを思い出す。
「そんなんで捕まえられたら苦労せんよ」
とか言いながら
花弁の落ちてきそうなところに手を伸ばす。
が、やっぱり花弁は目的の場所に落ちてこない…
「花弁のくせに…」
よく分からない八つ当たりを罪のない桜の木にしてみた。
あいつが悪いんや。
急に仕事なんかで出かけるから。
仕事が大事なんはようわかってる。わかってるけど…
久々に会うたのになぁ…
一人残った地点にある桜の木をまた見上げる。
相変わらず、雪の様な白い花弁を時折吹く風に乗せながら悠然としている。
ふと。
さっき八つ当たりしたのを悔いた。
「あんたの一生懸命な命を卑下して悪かったなぁ。あんたは動かれへんのにじぃっと、どっしりと役目果たしとる」
えらいなぁ
て、伝わるかわからんけど。
そっと幹を撫でてみた。
えらいえらいゆうて幹を撫でる私を、道行く人々は怪訝に見たり見なかったり見えなかったフリしたり。
「えらいすんまへんでした!」
「……?」