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□第37話 咲かせて魅せよう桜吹雪!!!
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「ガハハハハハ!カミナぁー!アホ面見せんじゃねー!」
 キタンがアニキの背中をバシバシ叩く。
 アニキはそんなことなど全く気にせず
「リョータってヤツがよぉ....悪ガキでなぁ.....しょっちゅう野球しては学校の窓割りやがるんだよ.....。で、この間一発ブン殴ってやったらよぉ.....」
 めそめそと泣きじゃくる。な、泣き上戸なのか....。
「アンネー!お父さんはお前のことが心配だー!!!」
 ダ、ダヤッカも泣きか....。キヨウは深くため息をつき放置。
 唯一モクモクとやってるのはマッケンくらいか。他はヒドい。何か戦ってるヤツもいるし....。
 そんな俺の心を見透かしたようにレイテが
「お父ちゃん、かなり酔ってるな」
「あ、あれで?いつもと変わらないだろ?」
「いや、お父ちゃんは酔うと普段以上に何も言わなくなるんだよ。あと、顔も普段以上にお地蔵さんみたいになるだろ?」
 いや....分からないなぁ。ていうかマッケンの顔はお地蔵さんというより松だい....いや、何でもない。
 とにかくレイテが言ってるんだからマッケンもかなりきているのであろう。となると向こうは全員やられている。
 こちらだけは何とか向こうの浸食を受けずに平穏無事にこの花見を終わらせなければ。
 タシエスのために!
「はぁ、いやーねウチのバカ共は。下品ったりゃあったもんじゃないわ。こっちはお上品に楽しみましょうね〜」
 女性陣の「は〜い」
 つられて俺とジョーガン、バリンボーも「は、は〜い」
 向こうに視線をやると、アニキ、キタン、ゾーシィ.....。か、顔が危ないよ。
「ぁ男カミナ!今生掛けた大勝負!!咲かせて魅せよう桜吹雪!!!やってやれないことはない、やったら最後果たすまで。俺を誰だと思ってやがる!!!!」
 ムチャクチャだ....。
 アニキはそう言って上着を脱ぎ捨て、右肩をアピールする。
 あ、アニキの肩に桜吹雪はないよー。帰ってきてー。ていうか泣き上戸はー。
 キタンとゾーシィが煽り、アニキも益々調子にのる。
 ぬらぁとこちらに照準を定めるアニキ。さ、殺気!!!
 酒瓶を両手に抱え、こちらに走り出してきた。
 その目は明らかに俺を狙っており、いつぞやブン殴られた時以上の威圧感を感じた。
 俺は気がつくと逃げ出しており、目からはうっすらと涙が出ていた。
「シモーンンンンン!!止まれええええええええ!」
 後方にアニキの怒声。
「い、いやだよー!酒はダメなんだってばー!」
 後ろからは依然として殺気。
 ダ、ダメだ...。聞いてない。振り切るしかない!
 俺は無数に生えている桜の木を利用し、旋回するなどして上手く逃げ回る。幸い向こうは酒瓶を抱えている。移動速度はこちらが上。いける!!
 ふと元の位置に目をやると、ジョーガンとバリンボーはそれぞれ酒瓶を二本づつくわえさせられていた。
 口からは酒が溢れ出し、ブクブクと泡を吹いている。
 き、汚ねぇ....。ア、アーテンボロー...それは砲弾のスイッチじゃない。瓶底だ...。ま、マジで死ぬぞ。
 その後ろではキッドとアイラックがへらへらとしながらも正座させられ、奥さんたちにガミガミと説教されている。
 酔いのせいで喜哀楽、奥さん達は努。
 ヤ、ヤバすぎる....。
 無害なダヤッカとマッケンは良いとして、他の奴らはヒドすぎる。.....あ、あれ?
 キタンはどこだ?
 思った矢先、後ろを向きながら走っている俺の左肩に何かがぶつかる。
 硬いが、木にしては柔らかすぎる。何だ?
 首を45度曲げて正常な方向を向くと、そこには金髪のツンツン頭さん、キタンの顔が真正面にあった。あ、鼻毛が出てるぞ。
 一瞬、全身を流れる血が消滅したように俺の体から温度が無くなった気がした。もう、終わった....。
「シ〜モ〜ン〜」
 酒クサッ!鼻の真ん前で息を吐かないでくれ。
 キタンの「臭い息」こうげきで俺が一瞬自分の体を宙から見つめている間に、キタンによって俺は羽交い締めにされていた。
「カミナァー!!!」
「おうよ!!!シモーン!歯ぁ食いしばんなああぁぁぁぁあ!!!!!」
 キタンの叫び声に呼応するアニキ。
 瞬間、俺の口が酒瓶の先端によって犯され、汚され、とても熱く感じる液体を、大量に、大量に....注ぎ込まれた。
 あ、さようならニア....今までありがとう。タシエス....生まれてきてくれてありがとう。
 ..................。
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