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□第31話 ブータ待て!
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「リーロン、この世界には本当に獣人はいないのか?」
 リーロンの小さな家、イコール研究室。俺はニアの出産を間近に控え、寒空の下、再度確認したいことがあってやってきた。
「今のところ確認はされていないわね。まぁ、テッペリン攻略後に人間と和解した獣人はほぼ全てまだ向こうで生活してるでしょうから、下手な混乱が起きなくて良い気もするけど」
 確かに四天王とかいたら俺が来る前に大変なことになってたかも。
「それじゃあ、ロージェノムは?」
「やっぱり気になる?」
 リーロンにはいつも心を見透かされてる気がするな。
「まぁ、ニアと直接は話してないけど、ニアもきっと....」
「そうね。どんな形であれ、お父さんだものね」
「今なら、ロージェノムとも、笑って話すことが出来ると思うんだ」
「アタシもそう思ってるわ。生体コンピュータとして蘇らせ、何も言わず最後には一緒に戦って、地球の未来のために散ってくれた。短い間だったけど、グレンラガンでみんなと一緒に戦ってて気付いたの。ロージェノムは、あの時確かに心からアタシたち、大グレン団の仲間だった」
「そうだな...」
 今となっては是非はどうでもいいのかも知れない。俺達はお互いの信念を貫くために戦った。それがたまたま命懸けだった。そして最後には仲間になった。それだけ。
「今となっては良い思い出、かもね」
 リーロンが、珍しく見せる遠い目。
「もう二度と経験したくないけどね」
 リーロンは、そうねと俺に同意して笑い。続けた。
「とにかくロージェノムについては全く分かってないの。一応この世界にはコミュニティーがここを含めて13存在することが確認されているわ。いずれも獣人の確認はなし、ロージェノムも然りよ」
 以前聞いたのと全く同じ内容。そりゃそうだよな。
「...分かった。ありがとうリーロン」
 そういって、リーロン邸を出ようとすると、リーロンに呼び止められた。
「ま、時間はたっぷりあるわ。必ずご期待に沿えるような答えを用意するわ」
 リーロンはいつも道を指し示してくれる、今度も期待しよう。
「それから、シモン。アナタは多分、彼のことも気になってるわね?」
「ロシウ?」
「いや〜ね、彼よ、カ・レ」
「どうだか。ありがとう、リーロン」
 そう言ってリーロン邸を後にする。
「まぁ、彼のこともアタシは全く分からないんだけどね。不死の体、どうなったのかしら?本当にそのまま?はぁ...アタシの時代は、終わったのかしら?」
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