本棚2

□花言葉でスガ受け
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日菅


向日葵


暖かな、陽だまりのような子だと思う。
日向翔陽という名前通りに、暖かで、真っ直ぐに空を目指す。
一年前のあの試合で、セッターとして目を引いたのは影山だったけれど、同様に記憶に強く残ったのは小さな日向の姿だった。
縦横無尽に駆け巡る姿は、瞬きの間に瞬間移動した様な錯覚を起こさせて、それが酷く衝撃的だった。
誰の代わりにもならない秀でた才能というよりは、日向自身の努力の賜物であるそれは、烏野で影山と出会った事で戦い方を会得した。
それは、同じ選手として見ていた心地よさを感じるほどで。
ふわりと舞い上がるトスに、キラキラと目を輝かせて飛び上がる姿は、憧れすら抱いた。
眩しくて、光の中に溶けてしまいそうだと、柄にもなく感じるほどに。
そんな日向が、俺を見上げてふわりと笑うから、たまらなく胸が苦しくなって。
思わず伸ばしたオレンジ色の髪は、お日様に触れたようにじわりと指先から熱が広がる。
「菅原さん?」
意図を掴みかけている日向は、きょとりと上を向いてされるがままになっている。
まるで、小動物を撫でているような気分。
日向の髪色はオレンジ色のガーベラのようだけど、お日様に向かって飛び、まっすぐに上を見続ける日向は、向日葵の方が似合っている。
「おれ、すがわらさん、すきです」
そう言って、またふわりと笑って真っ直ぐにそんな事を言ってくれるから。
指先だけじゃなくて、耳まで熱くなってしまった。
その眩しさに目を細めつつも、目を逸らす事なんか出来やしない。

(私の目はあなただけを見つめる)






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