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□伴侶はどうやら魔性だったようです
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公一「知っていたよ。そういう君だから、僕は一生を誓ったんだ」

#奥さまは魔青年
だったのです。

「おかえり公一。台所で裸エプロンえっちと、お風呂でソープえっちと、ベッドでそのままどれがいい?」
「うん!まずは服着ようか!話はそれからだよ!」
「どれにするかって話?」
「まず真っ先にシようとしないでよ!」

***

魔青年な奥様につき合わされて、夜な夜なケイパーに出て寝不足な旦那様
「眠気覚ましにキスしてあげようか?」
「キスだけで済まされない気がするから止めとくよ…!」

***

「君って専業主夫なんだよね?」
「一応ね」
「たまに僕の給料じゃ買えないような調度品や君のコレクションが増えてるのは……」
「ちゃんと正規ルートで購入したのもあるよ?お金はほら、FXとか交渉とか…ね?」
「もしかしなくても年収君に負けてる気がする…」

***

「旦那様の趣味を把握するのも、奥さんの役目だよね」
「え?」
「『あんっ、だめ…はずかしよぉ…こんなかっこう…』でしょ?」
「引用止めて!」
「『そんな事言って、本当は好きなんでしょ…?』」
「引用止めて!!!」

「もはや僕に安住の地はない……!」
「なんでさ。別に捨てろとか見ないでって事が言いたいんじゃないよ?むしろしたいシチュエーションがわかりやすいから準備しやすいのに…」
「うぅ…その優しさが辛い…」

***

「さて、帰ろう。買い物あるかな…ん、電話?」
『お疲れさま、公一』
「ビーティー!よく仕事終わったのわかったね。以心伝心って事かな…なんか凄いね」
『そうだね。あっ、公一。今通り過ぎたお肉屋さんで豚肉買ってきて』
「待って君今どこにいるの」

***

「帰ってきたら待ち疲れてソファーで寝ちゃったビーティーが居て…なんだか幸せな気持ちでいっぱいです」
「ん……こぉいち…?」
「うん、僕だよ。ただ.いま」
「おかえり……こぉいち…」
(寝起きのビーティーって、子供みたいで可愛いんだよね)
「しまった!夕飯に媚薬を仕込むつもりだったのに寝ちゃった!僕とした事が……仕方ない。口移しで飲ませるしかないね、公一!キスしよう!」
「僕のささやかな幸せが…!」

***

「ネクタイ結んであげるよ」
「ありがとう。…へへ…なんだか新婚さんっぽいね」
「毎日してあげようか?そうすれば、僕たちずっと新婚でいられるね。あっ、ネクタイピンは無くさないでね。居場所わかんなくなっちゃうから」
「待って、何つけてあるの」
「あと携帯もなるべく鞄よりポケットにね」
「何かしたの?!」
「君に何かあったらすぐわかるように発信機を」
「どうも最近充電の減りが早いと思ったんだ!……いや、そうじゃなかった。発信機なんかつけなくてもちゃんと帰ってくるから…ね?」
「…うん」

***

「美味しかった?」
「うん、美味しかったよ!プリンまで作れるなんて、君って本当になんでもできちゃうんだね」
「そんなに誉めるなよ。…実はね公一、2つ作ったプリンのうち、どっちかに媚薬を入れたんだ。僕もどっちかわかんなくなっちゃってさ…ね、どっちだと思う?」

***

「今日の夕飯は外食しない?僕、予約入れておくよ」
「へぇ、珍しいな。いいよ、待ち合わせする?」
「じゃあ、駅前にしようよ」
「わかった。でも、どこに行くんだい?」
「レストラン」
「意外だな、堅苦しいの嫌いだろ」
「だって、今日…僕たちが同棲始めた日だからさ」

***

例のコインロッカーからくすねた宝石の中にあった指輪の宝石を半分の大きさにカットしてペアリングにしてつける公Bちゃん。
「仕事中もつけられるように、内側に埋めたんだ。どうかな?公一」
「うん、嬉しい。僕たち互いの半分を身につけるんだね」

***

「公一が最近ちゅーしてくれなくなった。結婚した最初は毎朝したし、いってらっしゃいもおかえりも、おや.すみのちゅーも欠かさずしてたのに……」
「全部ディープキスだったからだよ…」
「僕とキスするのいや?」
「嫌じゃないけど朝は止めてよ!……我慢できないでしょ…」

***

「公一…」
「ん?どうしたの?」
「できたかもしれない…」
「え?」
「妊娠、したかも…」
「うん。一回落ち着こうか。僕たち男だからね?」
「魔法でどうとでもできるよ!」
「急に魔女設定持ってこないでよ!」

***

「公一とたっぷり蜜月楽しみたいんだ」
「僕も楽しみ。どっか行く?」
「うーん…じゃあ、天国見せてよ(ちゅっ」
「…!…いいよ。蜜月、だもんね」
「ふふっ、さすが僕の相棒…いいや、旦那様だ」

***

「公一」
「なに?」
「こういち」
「んー?」
「こーいち」
「んんー?」
「こういち…」
「…うん」
「してよ…キス」
「うん、だと思ったんだ」

***

「ビーティー」
「なんだい、公一」
「んーふふふ愛してるよ」
「……ビールはそれぐらいにしといたらどうだい。君あんまり強くないんだから」
「だいじょーぶ、酔ってなんかないよ」
「酔っ払いの言う事は信用できないね」
「君が好きなのは、どんな時でも変わんないのに」

***

大きめなソファーは大人二人が腰掛けても余裕がある。
なのに、まるで狭苦しいように肩を寄席あうのは恋人だから。
「サスペンス映画?」
「うん、刑事ドラマの劇場版」
「ふぅん、好きだね」
「謎解き楽しいじゃないか、ワトソン」
「僕にはさっぱりだよホームズ」
何気ない会話が幸福。

***

公一「30年だって。実際に年齢を重ねていたら僕らは43歳?」
BT「そうだね」
公一「でも、君はきっと年を取らないで年齢不詳って言われるんだろうなぁ。隣に並んでいるのが恥ずかしくなりそうだ」
BT「…!僕は、30年後も一緒に居てくれるって思ってるのが、嬉しいな」

***

BT「ただ/いま…公一?」
公一「すー…」
BT「寝てる…洗濯物たたみながらなんて、器用だな。…お疲れ様、公一(ちゅ」
公一「…ん…あ…びーてぃー…?ゆめ…?」
BT「…うん。夢だよ」
公一「そっかぁ…じゃあ、たくさんちゅーしても恥ずかしくないねぇ…(ちゅ)」

***

BT「台風か…店仕舞いが早いから仕事が楽で助かるね」
公一「ケイパーを本業になんかさせないからね?!」
BT「勿論さ!僕の本業は君のかわいい奥さんだもの」
公一「っ、……その言い方、ズルイよ……」
BT「嘘じゃないよ。神様に誓ってね」

***

BT「センスは悪くないけど、たまに驚くような組み合わせを持ってくるよね」
公一「オブラートに包んでくれるのは嬉しいけど、素直にセンスがないって言っていいよ…」
BT「似合ってるから問題ないよ。ただ、単品で見ると変な柄のが多いなって…」
公一「そうかなぁ…?」

***

BT「奇妙だねぇ」
公一「むしろホラーじゃない…季節外れな気もしてきたよ…」
BT「未来泥棒はかの有名な猫型ロボットの方が書かれた作品を映像化らしいよ」
公一「へえ!知らなかった!秘密道具だったのかな……」
BT「猫耳つけようか?」
公一「関係ないよね?!」

***

3年目の結婚記念日だから、外で食事をすることにした。
仕事終わりの公一を迎えにいってレストランへ。
銀食器の並ぶそこは、いつも行くようなファミリーレストランとは違って作法が必要。
でも、色んな場所に連れ回した成果かな。
公一は迷わず食器を使う。
かっこよくなったね公一。
「ん?どうしたの?」
口元にまで運んだ肉を飲み込んで、首をかしげる姿を見つめる。
可愛い。
大人になって、スーツも様になって、かっよくなっても、可愛い。
とても可愛い。
きっちりとネクタイの詰まった首元も、カフスボタンだって決まってる。
髪だけは、癖毛でくるくる。
「なんでもないよ」
そう言って小さく切ったマッシュルームを食べる。
マッシュルームって公一と似てるな、実は昔から思ってるけど言ったことはまだない。
褒め言葉かというと、違うかなって流石に思うから。
でも、まるこっくて、白くて、可愛い所が似てると思う。
「失礼します。お待たせいたしました、シェリーです」
ボーイの手にあるボトルが傾けられて、透明感のある黄色のワインが注がれる。
公一は車だからってオレンジジュースだけど、僕が簡単に家に帰すと思ってるのかな。
まあ、家でもいいんだ。
僕らの家でも、することは一緒だもの。
「ありがとう」
お辞儀をするボーイを見送ってから、グラスに口をつける。
華やかな香りと淡い色合いとは裏腹に、実は強いお酒だ。
女性が飲むと強くない限りはすっかり酔いが回って、足元にくる。
つまりは、帰りたくないと暗に伝えるための密やかな主張。
公一が知ってるとは思わない。
きっと知らないし、ホテルの予約をしてあるのも知らないだろうな。
それでもよかった。
法的に結婚したわけでもないけど、この13日は僕らの結婚記念日だ。
その日を一緒に過ごせる。
それだけでも十分だった。
随分と、手軽に幸せになれるようになった。
君の全部が欲しいのは変わらないけど、君の全部じゃなくても幸せになれるようになってしまったんだ。
お手軽になってしまった。
きっと毎日が満たされてるからだ。
ぼうっとグラスを持つ手に触れられて、顔をあげる。
強引ではなく、自然にグラスを持って行かれてしまった。
グラスに顔を近づけて匂いを嗅ぐ。
半分になったシェリーは、少し色が薄くなったように見えた。
「公一?」
しばらく考えこむような顔をした公一は、そのままグラスに口をつけて、残りを全部飲み干してしまった。
「ん…おいしい。はい、ありがとう、ビーティー」
空っぽになったグラスが返ってきて、その意味をかんがえる。
さっきまで、車があるしって言ってたから、忘れているわけじゃないよね。
公一を見ていると、少し穏やかに笑って見せた。
「今夜は、沢山飲みたいなって思ったんだ…シェリーをね。……駄目かな?」
「駄目な、駄目なもんか…僕もたくさん飲みたい気分なんだ。君の手で注いでくれると、なお嬉しいんだけどね。公一」

そういう、結婚記念日にいちゃつく公Bちゃんは可愛い

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