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□ウィルナル小ネタまとめ2
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140字でウィルナル

ぽす、足音のリズムを聞くかぎり歩く早さは同じ。
それなのに、距離は少しずつ開いていく。
ウィルは前だけを見て成長していく若芽。
対して自分はとうに花を散らした落穂のようなものだ。
「ウィル」
「はい、なんですか?ナルセスさん」
呼び掛ければ振り向き横に並ぶ今だけは、その幸福に浸っていたい。

***

「ナルセスさ、ん?」
次の発掘の相談をしようと思って風呂上がりにナルセスさんの部屋を訪ねた。
安楽椅子に座る後ろ姿に違和感を感じ回り込むとすっかり眠っているようだった。
「睫毛、重そうだなぁ…」
目元を縁取る金色に誘われて顔を寄せる。
すっと伸びる鼻にそっと唇を寄せる。
どうしよう、好きだ。

***
「ん、…んっ、ぁ…ぁ…」
唇をまるごとを食べるような口付けに呼吸が追い付かないでいる。
乱暴に食い散らかすようなキスを教えてしまったのは自分だ。
触れるだけで、壊れ物に触るようなキスをしていたのに、一体どこで間違えたのか。
「ナルセスさん…」
深く滲む情欲に、声が出ない。
嬌声すら飲まれた。

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