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□体感時間は30秒
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共闘ネタの後か
臨也がドタチンバリアーを発揮させて
静ちゃんと出会った後の話
今回はドタチンバリアーで。





「ふぁ…」

ねみぃ…。
単調な声で話しをしてる教師の声はお経に近く、昼飯後の体にはかなりくるものがある。
本当は、今日は天気もよかったので、屋上で昼寝でもしようかと思ってたのだが、新羅につかまってしまった。
どうやら担任に出席日数が足りなくなるから連れてこいと言われたらしい。
この一言でいいのに、新羅はそれの倍喋っていて軽くキレるかと思った。

「ふあぁ…」

二度目のあくびに軽く涙がでてくる。
時計を見えると授業終了まで三十分は軽くある。
俺は、机につっぷして寝ることにした。
どうせ最初から頭になんか入ってないんだ。
聞いてても無駄だ。
そうとう眠かったみたいで、次に目を開けたらいつの間にか授業は終わっていた。

「ずいぶん眠かったみたいだね」
「あ?」

いつのまにか横にいた新羅が、手に教科書を持ちながら話しかけてきた。
俺は、新羅だとわかると再び腕に頭を押し付ける。
こいつなら俺が起きてようが寝てようが構わず喋り倒すだろう。

「うわ、返事もせずに早速寝る体制?せっかく寝ていた静雄に少しでも範囲を教えてあげようかと思った僕が馬鹿だったよ。というか、静雄はもうちょっと危機感という物を持った方がいいと思うよ?大体、今日だって僕が、あれ?門田君?」

朦朧とした意識の中、新羅の発した名前ははっきりと俺の意識を覚醒させた。
門田、どこで聞いたんだったか…。
俺の席は廊下に面した窓の下で、廊下から話しかけやすい位置にある。
ふと上を見ると、そこには見知った顔があった。
この間、臨也をぶん殴ってやろうと追いかけていたら、臨也に盾にされていたやつだ。
たしか…

「ドタチン?」
「えぇッ…?!」
「……お前、臨也と同じので呼ぶなよ。」

不本意ながら、臨也のくそ野郎が呼んでいた名前しか知らなかった為それを呼んだら、新羅は驚いた顔で止まって、そのあだ名を呼ばれた張本人は呆れたような顔をしている。

「え、静雄。門田君と知り合いなの?」
「いや、この間臨也の野郎をぶち殺そうとした時に、ノミ蟲が盾にしていた。」
「あぁ…なるほど。それは御苦労さまだったね」

新羅は事の成り行きを聞いて納得した表情で、話しかけた。
そいつは諦めたように苦笑いを浮かべて、髪をかきあげた。
バーントアンバーの髪をかき上げる姿はさまになっていて、素直にかっこいい奴だと思った。

「まぁ、あいつとは腐れ縁だからなぁ。」
「で、どうしたの?僕らに用事?」
「あぁ、なんか鈴木がお前と臨也を呼んでたから」
「僕?」
「あ、いや、静雄の方」

一瞬、息が止まった錯覚を覚えた。
こいつ、今、なんて…呼んだ?

「もー、どうせこの間の一年生の廊下のガラス全部割っちゃったやつでしょー。」
「あー…鈴木、一年の主任だからそうかもなぁ…すぐに職員室こいって」
「でも、なんで門田君が?」
「臨也が逃げないように鈴木がその場で捕まえて、ちょうど臨也に絡まれていた俺が呼んで来る事になった」
「うわ、タイミング悪かったね。」
「いや、別にめんどうじゃねぇからいいけどよ。というか、さっきから気になってたんだが、なんで俺の名前知ってるんだ?初めてだよな…?」
「え、来神で門田君の名前知らない奴ってもぐりだよ?」
「は?」
「来神の番長、門田京平。有名だよ?」
「なッ、……あぁ、臨也か…」
「そこですぐにあいつにいっちゃうんだね〜。付き合い長いの?」
「小学校からだからな」
「うわぁ、そりゃあ慣れるね。って、静雄がさっきから静かなんだけど…?」

俺は、ぐるぐると回らない頭をさらに回して、ようは、混乱していた。
他人から名前を呼ばれるのは、家族と新羅以外なかった。
みんな、俺を怖がって、名前で呼ぼうとはしない。
呼ばれるような仲でもない。
だから、いきなり俺の名前を呼んだこいつに、ちょっと、いやかなり、驚いた。

「おまえ、…名前…」
「あ?俺のか?」
「や、今…俺の名前…」
「あぁ、平和島って言いづらいじゃねぇか。だから、下の方が呼びやすいと思ったんだ。」

何を驚いているかわからないって顔をして、こいつはそう言った。
なんだ、こいつ。

「お前、すげぇな…」
「いや、何がすげぇか全然わかんねぇけど…あ、もしかして嫌だったか?」
「そうじゃねぇ、まぁ…あんがと」
「おう?」

俺にはできない事を堂々とする、こいつは、確かにかっこいい奴だった。
こいつの傍をノミ蟲がのさばってんのかと思うと、軽く腸が煮えくり返る。

「静雄、そろそろ鈴木先生の所いかなくていいの?」
「あ?ノミ蟲いるんだろ?行きたくねぇ」
「子供みたいな事言ってー。じゃあ、門田君。」
「ん?」
「よろしくね。」
「…何をだ…?」
「いや、静雄を鈴木先生の所に連れていくの」
「なんで俺が…」
「ついでだよ。乗りかかった船なんだから、そのままどーんと乗って静雄をよろしく」
「…仕方ねぇなぁ…いくぞ、静雄」
「……わかったよ」

普段だったら、なんと言われても臨也の居る所になんか死んでも行きたくねぇが、こいつに悪いし。
まだ会ったばかりだが、なんとなく、俺はこいつを気にいっていた。

「なぁ、…」
「門田京平」
「は?」
「俺の名前だよ。門田京平だ、よろしくな。」
「あ、おぅ…よろしく。」

そう言って笑った顔は、びっくりするぐらいカッコイイとは違って、なんというか、可愛く見えて。
軽く頭が沸いていると思った。
とりあえず、臨也のせいにしてまずは一発ぶん殴ろう。





体感時間は30秒

(きっと、俺は××をしていたんだ)
(なんて名前かは知らないけれど)








「あれ?静雄の方が背でかいな」
「あ、そうだな」
「俺も結構でかい方だと思ってたけど、まさか見上げる奴がいるとは思わなかった。」

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