スマブラ部屋

□七夕の夜。
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「綺麗…だな。」

メタナイトは静かに寝転がり、空を見上げる。


まるで白銀の絨毯が空に敷き詰められているようだった。
だが、メタナイトは、また別の事を考えていた。



(私たちの星は、大丈夫だろうか…ソードやブレイド、ナイツたちはどうしているだろうか…)



…私たちの星とはポップスターのことである。
今は、国を治める大王も、星の戦士も居ない状態だ。
あれでは、いつ敵が攻めてきても可笑しくは無い。



そして、メタナイトの部下には、ソード、ブレイド、メタナイツたちが居る。
彼等はご飯をしっかり摂っているだろうか…万が一敵が攻めてきたとき、彼等だけで太刀打ちできるだろうか…



というような、色々な心配が一気に湧き出てきて、胸をよぎっていたのだ。







「ふ…杞憂になれば良いのだがな…」


「何がだ?めーた?」


不意に声がしたので、慌てて飛び起きると、隣にアイクが寝転がっていた。



「別に、貴様には関係の無い事だ。」


「うわぁ…冷たいな、めた…」


「もともとだ。」


「むぅ…」


相手にされず、悔しくなったのか、アイクはそのまま黙りこくった。
メタナイトも、それは好都合だったので、また寝転び、空を見上げる。



「よっ、と。」



…不意にアイクは起き上がり、メタナイトの近くまで歩み寄り、顔を覗き込んだ。


いきなり見下ろされ、メタナイトは起き上がろうとする。


しかし。







「起きるな。」


と強い口調の低い声が降りかかった。


「何故だ?」

「だって起きたらめた逃げるだろ?」

「何故私が逃げる。」

「何故って…」



メタナイトは反論するも、アイクの口調が戻ったので、寝転んだままだ。
アイクはしゃがみこみ、メタナイトの瞳を見つめる。




…ばくばくとアイクに聞こえてしまうんではないかと言う位、心臓の音がうるさい。
何か、心の中まで見透かされるような感じがする。
と、メタナイトは思い、顔をそむけようとした。



「めた…そっぽ向かないで。こっち。」

先ほどまで黙っていたアイクが口を開く。
メタナイトは、何だ?と言う風に振り向く。


その瞬間。




アイクは、メタナイトに口付けをした。




(えーと…何いまの何…何か口に触れた気が…!!!ま さ か )

メタナイトの思考回路がぐっちゃぐちゃになる。
…それまでは良かったのだが思考回路が正常に働きだすと、
耳まで真っ赤に染め、わなわなと体を震わせて怒鳴り散らした。



「ききき貴様ァアァァ!!!!今…口に…口に…!!!」


「うん、キスしたけど。」


「そのような事を平然と言うなぁあぁ!!!」


「え?何か問題あり?」


「大有りだボケェエェェェ!!!
どうやら本当に俺に殺されたいようだな?ん?」


「えっ、ちょ、めた落ち着いて…しかも『俺』って…一人称変わってる!?」


「落ち着いてなど居られるかこの変態池がぁあぁぁぁ!!!!!!」


鬼の形相で剣をぶん回し追いかけるメタナイトと、
必死の形相で逃げるアイク。

七夕の夜、地獄の鬼ごっこが始まろうとしていた。
もはや、リ○ル鬼ごっこに近い。(待


「貴様アァァァ!!!今日という今日は絶対に許さん!スライスにしてくれるわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「ぎゃぁっ!危なっ!めた!止めっ!止めてくれ!!!」


「黙れ直読み!!!」


「IKE略した!?直読みって何!ギャーーーース!!!」












「アイツ(アイク)も懲りねぇよなー…」


「そうデスねぇ…まぁ、アイクサンが良いのであれば良いんじゃないデスか?」


「…メタナイトがかわいそうだけどな。」


「それはそうですネ…」


…あのリ○ル鬼ごっこもどきを見て、ゲムヲとエインは苦笑する。
エインは、自分たちで用意した、短冊に目をやった。
それに気付いたゲムヲは、エインに問う。


「で、この紙に何を書くんだ?」


「これは、『短冊』と言って、願い事を書いてこの竹にくくりつける物だそうデスよ。」


と、言う訳で、ハイ、コレ。
と続けて、エインはゲムヲに短冊を渡した。
そして自分の分も取って、願い事を書き始めた。

続けてゲムヲも、自分の短冊に願い事を書き始める。










「できた!」「できまシタ!」

二人の声が見事にはもる。
二人は顔を見合わせ、照れたように笑った。



「なぁ、エインはなんて書いた?」


「エ!?じゃあ、Mrサンは?」


「よし。じゃーせーので見せるか。」


「分カリマシタ。」


「じゃあせーのーっ…」


…二人は同時に短冊を見せあう。
相手の短冊を見た瞬間、二人の顔はみるみるうちに赤くなった。


「エ…エイン…これって…」

「Mrサンこそ…」


「…とりあえず…付けるか。」


「そうデスねっ…」


二人は竹の一番高いところ、他の人には見えないところに、
自分たちの短冊をくくりつけた。



「…なあエイン?」

「何デスか?」

「こんなもんに書かなくったって、俺らはずっと一緒だよな!」

「…そうデスね!」

二人は顔を見合わせ、にこっと笑った。











『もうエインが何処にも行きませんように』

『Mrサンがずっとワタシのそばにいてくれますように』











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