他210DO部屋

□ついほうとゆうへい。
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「ツーサン!待ってくだサイよぉー!」


「だって急がないとマターのおやつ食べ損ねちゃうんだもん!
 だから頑張ってよダクゼロちゃん!」



「無理ですってぇ…早過ぎマス…(ぱたり)」


「えええ!?ちょっとダクゼロちゃん大丈夫!?」


「ダメ…デス…」


「お前等…そんなに急がなくてもおかし大量にあるぜ? 
 誰が取る訳でもないんだからよぉー。」


「えー!?マターに取られるから!」


「いやいやいや!!!俺取らねーよ!?俺がお前等のおかし取ってなにが楽しいんだ?」


「…マターサン、ワタシ達のオヤツ取るの?」


「いやいやいや取らないよダクゼロ?ほら!ツーお前のせいでダクゼロがまた俺に誤解を!!!」



「知らないよーん♪」



「知らなくねぇだろ!!!」



「…マターサンが怒りマシタ…」



「あああもー!!!(泣」




お子様二人に彼は面白いほどに梃子摺っているようです。
…これほど平和とは楽しいものでしたか…。


しかし…



このような平和な生活ももうすぐ終わり。
我々は戦わなければ生きて行けない種族なのですから。
平和なんて、本来は我々とは無縁なものなのですがね。


…彼等のお陰で少しばかりの平和というものが味わえたのかもしれません。



「マター…。」


「…はい?なんですゼロ様?」


「少し…宜しいですか…。」


「…はい。」



「ええええ!!!!!またゼロさんマターのこと連れてくのぉー?つまんないよぉー!」


「そうですよー!マターサンと何処行っちゃうんですかー?」



「…あーあー、ゴメンゴメン!すぐ戻るからお菓子でも食べてて!」




すっかりマターも子慣れしたようで。
この子達の扱いに関しては右に出るものは居ないでしょうね。



マターには、耐えられるのでしょうか…

この子たちとの別れに。









「…で。御用時とは、何でしょうか。」



ツーやダクゼロがいない真っ暗な所で会話をするのはもう慣れた。

…少々騒がしいほうが、俺には丁度良いんだけど。


「マター…」


…ゼロ様、何時もとはまとう空気が違う。
なにやら重大なことを決断されるような時の空気だ。

俺は、一言も聞き漏らさんと、背筋を伸ばし、「なんでしょうか」と言った。


ある程度のことは覚悟していた俺だったが、次の瞬間にゼロ様の口から出た言葉は、
流石の俺でも予想できないほどのものだった。




「……もうそろそろ、新たな星を襲撃します。」


「な…!?」


俺は絶句し、硬直状態になる。
もう、俺達一族はかなり繁栄して来ている訳だし、これ以上の侵略は必要ない、
と俺自身思い込んでいたからだ。

そして何より。


「…ツーや…ダクゼロはどうする御積りですか…?」


これが一番俺の聞きたいこと。
あいつ等は闘うなんて出来ないし、したくも無いと思う。
もし、仮にその計画にツーたちが反対したとしたら…

嫌な予感が、俺の胸中にはあった。


「…彼等には、その旨を説明します。
 …それで、解ってもらえないようでしたら…」


「…だったら…?」


「当然、処罰は考えなくてはなりませんね。」



稲妻が走ったような感覚が俺を貫いた。
まさか、ゼロ様の口から、そんな言葉がでるなんて。

処罰…俺達一族の処罰は、減点とか、罰金とか、そんなチャチなものではない。


良くて幽閉。悪ければ







…殺される。


「ゼロ…様?何故、そのようなお考えを…?」


「…彼等は所詮『欠陥品』。何時までも我々がかまっているわけにも行かないでしょう。
 この機会に、消してしまうのが丁度良いのでは?」


俺は今にも殴りかからんとする自らの右手を、左手で押さえつけた。
何を言っているんだこの人は。




…しかし、俺の不信感はすぐに拭われた。
ゼロ様が、涙を流している。


…そして、俺は瞬時に物事を理解した。
おそらくは、訳を知らない他の上層部の者達にせかされたのだろう。
俺の知っているゼロ様は、『処罰』だの、『欠陥品』などという言葉を軽軽しく使わない人だから。

ゼロ様にとっては、きっと身を削り取られるような思いだったに違い無い。


「…聞かれています。今現在も。」


突然、ゼロ様が蚊の鳴くような声で呟く。


「え?それは…?」

「…もう、行きましたね…。」


…何のことです?と聞こうと思ったが、止めた。
大体何のことだかは読めたから。


「…ツーや、ダクゼロ以外の者が、今聞いていたと?」


「…ええ。もう行ったから大丈夫。」


「…で、ゼロ様、ホントのところ、どうする御積りで?」


「それは勿論、彼等はここには居られないでしょう。戦いに巻き込む形となってしまいますから…」


「そうです…ね…。」


「私とて、あまり彼らを傷つけたくはありません。しかし、彼らを生かすためには、それしか方法が…」


「…分かりました…俺も協力しますよ。」


そう言ったら、ゼロ様の顔が、ぱっと晴れた気がした。



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