書庫-弐-


□出逢イノ刻
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二月も半ばを過ぎると日が延びてくるとはいえ、申の刻になれば日が落ち、空の色が紅色からだんだんと濃紺へと変化する。
世間は仕事を終え、自宅へと向かう足が速くなる頃だ。
しかし、それとは異なり夜になると橙の灯に輝く場所がある。




ーーーー品川宿 花街
町からは少し離れた橋の向こう岸に建てられた、漆黒の大きな門。
そこは、城壁のようにぐるりと石や土で囲い、塀などがめぐらされている。
入り口にだけ立つ門、大門。
右側に「会所」左に「番書」があり、12人の男衆が4人3交代で門番をしている。
外から入ることは出来るが。
中からは決して出ることが許されない。
それが郭の掟。





証.

今般 真田幸村 ヲシテ 貴殿ノ養子ニ 差遣エタルヲ以テ 在ノ通リ


契約仕候







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