頂きモノ

□モノクロ
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ぼくに微かな希望をくれた人、ザークシーズ=ブレイク。
その人は、一言で表すとしたら『白いヒト』。
切り揃えられた銀髪に、まるで西洋人形みたいに白い肌。
見た目もさることながら、中身も白いヒトだった。
いや、きっとその人にも勿論暗い部分はあって、穢れが全くない訳ではないと思う。
でも、そういうことではなくて。
その人は読めない。
何の文字も書かれていない、真っ白な本を読めと言われても無理なのと同じ。
『ブレイク』という人を読むには、いろいろなものが足りなさすぎる。
少なくとも、ぼくにその人を読むことは不可能だった。





私の可愛い愚者、ギルバート=ナイトレイ。
その子を一言で表すとしたら『黒い少年』。
別に、性格的なことをいっているわけではない。
ましてや、夜空を溶かし込んだようなその髪の色や、彼が好んで着る服のことでも。
私が言っているのは、その子の痛々しいまでの執着心。
閉ざされた過去や、弟のヴィンセント=ナイトレイという存在。
もしかしたら、私が追い続けるサブリエの悲劇の真相に近い人間かもしれない。
そう思って近付いたのだけれど。
その子は、予想以上に深くて扱いにくかった。
記されているはずの手がかりは全て記憶に塗り潰され心の闇に食い尽くされ。
読み取ることができない。
少なくとも、私のこの片方しかない濁った眼でそれを読み解くことは不可能だった。





あのヒトは『白いヒト』

あの子は『黒い少年』

互いに相容れない存在

相容れない色彩に呑まれた人間

それでも、触れたいと思ってしまう

理解したいと願ってしまう

つまるところ、自分達はオロカな人間なのだ

混ざり合うことなどできないと、わかっているのに



だからせめて、この指先だけは






モノクロに囚われた指先は、

確かに在る対極に伸ばされるのだろう



(まるで、)
(幾億の色を挟んで)
(繋がる環のように)
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