我奏話

□FFW
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赤き翼隊長 セシル・ハーヴィ
僕は、バロン王からミシディアのクリスタルをだっかんし飛空艇赤き翼でバロン王国へと帰ることになった。
兵士「部隊長!じきバロンに到着します!」
セシル「ああ…。」
僕はつい暗く返事をしてしまった。
兵士「やはり部隊長も…。」
兵士「いくら命令とはいえ…罪もない人からクリスタルを…。」
クリスタル…。
ミシディアの魔導師たちに罪などない。
しかし、僕たちは彼らからクリスタルを奪ってしまった。
多くの者を傷つけて。
兵士「部隊長!!」
急にもの思いから引きずり出され僕は慌てて振り向く。
兵士「われわれ赤き翼は、誇り高きバロン王国の飛空艇団!か弱き者から略奪をするなど…!」
セシル「やめるんだ…。」
兵士「しかし部隊長!」
兵士「ミシディアの魔導師たちは無抵抗でした!われわれは、彼らを…!」
気持ちは僕も同じだ…。
…でも。
セシル「いいか、みんな…。
クリスタルは、わがバロン王国繁栄のためどうしても必要なのだ。ミシディアの魔導師たちはクリスタルの秘密を知りすぎているとの陛下のご判断だ。
われわれは、バロン王国飛空艇団赤き翼!
陛下の命令は、絶対なのだ…。」
陛下は親のいない僕を育ててくれた。
僕がこうしていられるのも陛下のおかげなのだ。
兵士「部隊長…。」
兵士「部隊長!魔物の襲撃です!」
兵士が叫び僕は慌てて空を見た。
翼を持ちひとつしか目がない…フロータイボールだ。僕は自分の剣を握り、集中した。
暗黒剣…!!
剣は闇に染まり、空を、さく。
一撃にしてフロータイボールは絶命した。
セシル「みんな無事か?」
兵士全員「はい!」
兵士「しかし近頃、魔物の数が…。」
兵士「たしかに、あまりにも多すぎる。」
兵士「何かの前触れでしょうか?」
何か?…いや、何かの気のせいだろう。
兵士「まもなくバロンに到着です!」
セシル「よし、着陸体勢に入れ。」
兵士全員「はッ!」
僕は複雑な思いとともに大地におりたった。

ベイガン「おお、無事ミシディアのクリスタルを手にいれたのですね。」
バロン城門前で僕を待っていたのは近衛兵隊長ベイガンだった。
彼はいつもどうりの全身金の鎧を身につけ金属のぶつかる音をたてながら近付いてきた。
その表情は無表情で感情は分からないがおそらく喜んでいるのだろう…しかし僕はそんな気にはなれなかった。
セシル「しかし…ミシディアの人々はまるで無抵抗だった。」
ベイガン「今や、わがバロン王国に抵抗するものなどおりませぬ。さ、陛下がおまちかねです。」
ベイガンの後ろを自分はついていく。
陛下…あなたはいったい…?

ベイガン「セシル殿 しばし、おまちください。」
ベイガンは僕を王の間の前で止めると一人で王の間へと入っていった。

王の間にて…。
ベイガン「陛下…。おそれながらセシルのやつめが陛下に不信を抱いている様子…。」
ベイガンの言葉を聞き、バロン王は血相を変える。
バロン王「なんだと、それは、まことか!?…さすがは近衛兵長、よく知らせてくれた…。
…だが、クリスタルさえ手に入ればよい。さ、セシルを呼んでまいれ。」
バロン王はすぐに落ち着き、はやくセシルに会いたいといっているかのようにこの話しを促した。
ベイガン「は…。
…セシル殿 陛下がお呼びです、どうぞ。」
ベイガンはしぶしぶ頷く血と、外にいるセシルによびかけた。
すると、セシルが王の間へとやってくる。
バロン王は先ほどまでとはうってかわって笑みを浮かべた。
バロン王「ご苦労であった、セシル。して、クリスタルは…?」
セシル「はっ、こちらに…。」僕は腰から水色に輝くクリスタルは取り出した。
それをベイガンへと手渡すとベイガンは王のもとへて歩んでいった。
ベイガン「本物のようです。」
バロン王「おお、なんとまばゆい…!下がってよいぞ、セシル。」
陛下はまるでもう僕など興味ないと言うようにクリスタルに見入っている。
僕は気にしまいとその場を立ち去ろうとした。
セシル「……。」
…ダメだ、これだけは聞いておかなくては!
僕は再び陛下へと身を向けた。
セシル「陛下!」
そう呼ぶと陛下は不満そうに僕を見た。
バロン王「どうした、まだなにか用か…?」
ベイガン「陛下の前で、ご無礼な…!」
ベイガンが言っていることは百も承知だ。
だが、聞いておきたいのだ。
セシル「おそれながら、陛下はいったい、どういうおつもりです?みな、陛下の変わりようには不信を抱いております…。」
そしてこの時まだ僕は知らなかった。
歯車がこの瞬間加速し、この後、僕は絶望することを…
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