短編

□零短編
1ページ/1ページ

高い高いビル街のひとつの屋上。照らす月は銀色。

ひとつ、息を吸った。


香る匂いに今までに無い酷い緊張が押し寄せてくる。
濃厚な血の香りは思考を麻痺させる程濃く。


「居るんでしょ…蒼夜」

魔丁銃を両手に抜きながら言った。

くつくつ、喉を鳴らして笑う声。銀の髪に赤い目、正端な顔立ちの青年。


「もうSランク任務?駆け上がるの早いねぇ…サラちゃーん♪」


任務はもう直ぐ三桁目だ…御上はサラを試そうとしていた。
その為か、名が知れ渡るのにも時間は掛からず、この男の耳にも渡った様だ。


「闇の王ね…貴方が」

「ご名答ー。最近歯応えの無い奴等ばっかりでよー」


いきなりの愚痴の様な口調に一歩下がる。一層嘲笑を濃くさせ、言った。


「アンタは楽しませくれよ?」


突如飛んで来た何かを避ける。見れば氷の塊だ。

「ほらほら、ぼーっとしてっと、」


目の前にいきなり現れた蒼夜に後ろに飛び退く。だが、頬を鋭い爪先が掠めた。一筋血が流れる。


「っ…」

「良い匂いだ…食べて良い?」

「悪いけど、私Sなのよ」

「S同士か…共喰いだな」


楽しそうに良い放つ彼にとってはただの簡単なゲームだろうか

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ