カレーの王子様。

□おばあちゃんち
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おばあちゃんちの小さな台所。

古い鍋にトマト。

お湯の中にトマト。

はじめてみたんだ。





ざぁっとシンクにお湯をこぼしざるにトマトを受け入れる。


つるんとした皮の向けたトマトはぼんやりした中身を覗かせている。


冷ます間ににんにくをつぶしてバターで炒める。

玉ねぎを炒める。

マッシュルームを入れて一緒に炒める。

お湯を入れてローリエを入れて煮込む。


その間にさっきの湯剥きしたトマトをざくざく大きめのみじん切りにする。


ちょうど煮えてきた鍋に投入。

またぐつぐつする間にエビの背綿を取り除き隠し包丁を入れる。

鍋にカレー粉を入れる。


バターでエビを炒める。


白ワインを入れてちょっと蒸す。

汁ごと鍋に投入。


煮だって来た所へ生クリームを入れた。






「まきちゃん、お腹すいたぁ。」

背中をつつくのはいとこの香ちゃん。

「もうできるからご飯よそってよ。」

「はぁいい。」

香ちゃんはうれしそうな声を出して居間に戻ってく。

きっとお腹減ってるんだろうな。
私も中学生の頃はそうだったもんな。

ぐるぐる鍋をかき回して火を止めた。


エビカレーの出来上がり。


鍋を持って居間に移動する。

おばあちゃんちの居間。

古いちゃぶ台をかこむのは小さな頃から見知った面々。

中学2年の香ちゃんに、その弟、小学5年の隆君。

小学3年生のあやねちゃんに妹の美香ちゃん小学1年生。

高校生2年の隆。

中学2年の私の弟、瑞樹と大学1年の私、まき。

今日は子供達の食卓だ。

ご飯のよそられた皿にカレーをよそっていく。

「わぁーエビのカレーだ!!」

「これ何口??」

「大丈夫、中辛。」

「辛い??」

「なんだよ、あやは中辛もダメなのか?」

「そうだよ、おねーちゃん辛い辛いってお水ばっか飲むんだから。」

騒々しくカレーが並べられていく。


今日はおばあちゃんちでご飯を食べる。

子供達ばかりで。

大人は敷地内の新宅、うちの両親の家に集まっている。

今日はおばあちゃんの49日。


いとこ達はそれぞれ離れて普段は暮らしてる。

みんなに会うのはおばあちゃんのお葬式以来かもしれない。

ずっと静かだったはずのおばあちゃんの家。

今日はにぎやかだね。
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