散文

□紙一重
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俺は知念の言いたいことがよくわからなかった。
それがわかったのか、黙ってしまった俺に知念は説明を始めた。

「愛さなければぬーも憎くないあんに?自分が愛しいから、邪魔なものが憎い。恋人が愛しいから、障害が憎い。それだけやしが」

例えば、俺は知念が愛しいから、彼に告白をした後輩の女子を階段から突き落とした。彼に馴れ馴れしかったクラスメイトを登校拒否にまで追い込んだ。

だってだって、それはすべて知念のためだから。

「だからわんは死ぬんさー、他でもない、凛に立ち合ってもらって」

縄をぎしりと引っ張った知念は、微かに微笑んでいた。





2008/11/22
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