散文
□上手くいかない
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地面が揺れる夢を見た。
そのまま周りの建物を崩して俺のことを押し潰せばいいのに。そう思ったけれど、地面は揺れる以外何もしてはくれなかった。
夢さえも思い通りにはならない。起きたときにまずそう思った。
朝校門をくぐった辺りで、ユウジ先輩に偶然会った。
ユウジ先輩は片手を軽く上げて「おっす」と言った。
「ちっす」
適当に挨拶を返せば、朝からあり得ないテンションでユウジ先輩は駆け寄って来た。
「なんやのお前!?機嫌悪ない?」
「別に、悪ないっすよ」
失礼な程に俺の顔を覗き込むユウジ先輩に、少し、いやかなりイラっとした。
ウチの部のメンバーは大分イラっとする人が多いが、その中でもユウジ先輩は群を抜いてうっとうしかった。
「んなことないやろ。つかお前相当俺んこと嫌いやんな」
「それ普通本人に確認しはります?」
「……否定してくれたってええやろ」
ユウジ先輩は露骨にため息をつくと、それにも関わらず俺の肩に手を回した。
馴れ馴れしいにも程がある。
「冷たいやっちゃな、まぁはよ行かな遅刻やで」
自分で引き止めたくせにこの言い方。
俺はメマイがしそうな気がした。
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