散文

□SとM
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ユウジ先輩は俺の耳に触れた。

「お前自傷癖でもあるんか?」

そんなこと言われたことがなかったから、少し驚いた。

「ピアス開けてはる人は皆自傷癖っすか?」
「ちゃうねん、財前はそんな目ぇしとったから」
「失礼っすわ」

少しどきりとした。
別に自傷癖はないし願望があるわけでもない。ユウジ先輩が俺をそんな風に見ていることに興奮したからだ。

「つか、キモいんで気安く触らんといて下さい」

俺がちらっと睨むと、ユウジ先輩は傷ついた表情をした。勃起するかと思った。

傷つけることが快感なのではなくて、大好きなユウジ先輩に俺が嫌われさげすまれることが気持ちいい。出来ることなら、もっと嫌って、拒絶した目で罵ってほしい。

これも一種の自傷癖だろうか。






2008/12/26
 

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