散文
□SとM
1ページ/1ページ
ユウジ先輩は俺の耳に触れた。
「お前自傷癖でもあるんか?」
そんなこと言われたことがなかったから、少し驚いた。
「ピアス開けてはる人は皆自傷癖っすか?」
「ちゃうねん、財前はそんな目ぇしとったから」
「失礼っすわ」
少しどきりとした。
別に自傷癖はないし願望があるわけでもない。ユウジ先輩が俺をそんな風に見ていることに興奮したからだ。
「つか、キモいんで気安く触らんといて下さい」
俺がちらっと睨むと、ユウジ先輩は傷ついた表情をした。勃起するかと思った。
傷つけることが快感なのではなくて、大好きなユウジ先輩に俺が嫌われさげすまれることが気持ちいい。出来ることなら、もっと嫌って、拒絶した目で罵ってほしい。
これも一種の自傷癖だろうか。
2008/12/26