散文

□満月の夜
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満月の日はなんだかワクワクする。男は狼だから?なんて馬鹿みたいなことを考えて。

「ユウジ、空が綺麗やで?」
「うるさい、しね」

ユウジはたどたどしく呟いた。ユウジはとても頭が悪いから、上手く言葉のキャッチボールができない。
でも俺はユウジがとても好きだから、頑張って話しかける。

「ユウジ、死ねなんて言うたらあかんで」
「しね、くそが」
「ユウジ、ホラ、満月やで」

ユウジはゆっくりと顔を上げ、俺を睨みつけた。

「見せたいならこの縄外せや外道」

ユウジを椅子に縛りつけてから結構長い時間が経った。大人しくはなったけど、口はいつまでも悪いままだ。

「外したら殴るやん」
「当然じゃボケ!死ぬまで殴ったる!」

ほらね。
俺は一生懸命躾てるのに、ユウジは反抗的だ。

「なら外されへんわ」

ユウジはとても頭が悪いから、暴れるから縛られていることがまだ理解できないようだ。大丈夫、俺がそんなところまで愛してるから。

「せやったら俺んこと殺せやぁ…」

ユウジは泣きそうな顔をして言った。
可愛い可愛いユウジ。
泣いたって殺してなんてあげないよ。




2008/08/08
 

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