比嘉
□そんな彼が好きだから
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今日は、最近付き合い初めた木手くんとの初デートの日だ。
私はウキウキとして待ち合わせ場所に来ていた。
今日は日曜日なので私服だ。私は清楚に見えるような白いワンピースにレギンスを合わせ、少し化粧もしてみた。
木手くんは気に入ってくれるかな。
木手くんは部活を終えて、わざわざ着替えてから来てくれるらしい。
木手くんはどんな服を着て来るんだろう。
木手くんと初めて会ったとき、眼鏡を上げる仕草がとても繊細だと思った。
だから、オネェなんだと思った。
実際は全然そんなことがなくて、一人称はバリバリ俺だったしすごく男らしかった。
例えば、木手くんが部員の躾用と言っていたゴーヤーを磨いていたときだった。
珍しそうに見ていたら、木手くんは「食べる?」と言って渡してくれた。
食べたいと思った記憶は全く無いのだが、せっかくなのでとりあえず受け取っておいた。
「立派なゴーヤーさ」
「うん。選んでるから」
「太くて長くて硬くて」
私がゴーヤーを撫でたとき、木手くんは私を見つめ
「いやらしい人ですね」
と笑った。
確かに言われてみればいやらしかったかもしれない。
しかし、その発想と笑いが何よりもいやらしいと私は思った。