平凡アワー

□平凡アワー その7
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ロッカーに潜んで数十秒、話し声の主は音楽室へ入ってきた。

「あー!あった!僕の楽譜。良かった〜、無くしたかと思った。」

「ったくドジだな。普通楽譜忘れねぇだろ?」

「しょうがないじゃん、急いでたんだから。」


先生かと思っていたが、入って来たのは生徒二人だった。

会話を聞く限り忘れ物を取りに来たようだ。吹奏楽部か合唱部とかかな?

生徒なら焦って隠れる必要なかったか?ん〜でも今飛び出しても不審者扱いだよなぁ。もう少し隠れてよう。




この判断も大きな間違いだった。



「じゃあ、帰って練習しよっか。」

「ちょっと待てよ。」


えっ…何してんの?さっさと帰れって。

なぜか片方の男がもう一人を壁に押しつけて……キスしたー!

「ん…何すんの、早く練習戻らないと。」

「せっかく二人きりなんだから練習よりもっといいことしようぜ、な?」

「もう、しょうがないなぁ。」


しょうがなくないだろー!帰れ、頼むから帰ってくれよー!










そして冒頭に至る。
俺は目の前で始まってしまった行為のせいでロッカーから出られなくなったのだ。


キスまでは興味深々で覗いてしまったが、いざ本番になると見てるのも恥ずかしくて目を閉じ、指で耳に栓をした。


 
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