平凡アワー
□平凡アワー その6
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っていうか先輩の好きな匂いとか知らないし、俺が何か匂うとしたら…
「柔らかいね。」
「ちょ、先輩!」
先輩の手が俺の尻を揉み始めた。これ以上はまずい。蒼井と委員長は人ごみのせいかまだこちらに気づいてないけど通り過ぎる生徒の視線が痛いし、セクハラもエスカレートしてきた。
「鶴見先輩、俺が何か匂うとしたら…それただの入浴剤ですからー!!」
ちなみに爺ちゃんに貰った「世界の温泉百選」シリーズだ。現在真夏にも関わらず俺の風呂が長いのはこれのおかげである。
先輩を力一杯突き飛ばして何とか離れたが相変わらずの笑顔で「残念」と言いながら全く残念そうじゃなかった。
「鶴見先輩、泉に何してるんですか!?」
「副会長だか何だか知らねぇがよっぽど死にたいんだな?」
「あ、あの…そういうのはいけないと思います!」
その時ようやくこちらに気づいた三人がこちらへやって来た。
委員長は口調こそ冷静だが表情には苛立ちが見て取れるし、蒼井は今にも飛びかかりそうだ。それでも笑顔を崩さない鶴見先輩はやはり王子だなぁ、とある意味尊敬するよ。
「先輩、それで何の用ですか?昼飯食いたいんで時間無いんですけど。」
このままだと騒ぎが大きくなると思った俺は蒼井と委員長を制し、先輩に話しかけた。