平凡アワー
□平凡アワー その6
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でも喧嘩する程仲がいいって言うし別にいいか。源三は慌ててるけど俺的にはいい傾向だと思ってるから放置してみる。
少しずつではあるが蒼井と周りの距離は確実に縮んでいると思う。それが嬉しくて何だか微笑ましい気持ちになっていた。
「そ〜うた。」
「ギャー!」
蒼井と委員長のやりとりを見ていると俺の肩に重みが、というか後ろから抱きしめられ耳元で囁かれた。
思わず叫びながら振り向くとそこには顔だけは一級品な副会長、鶴見先輩が居た。
「ギャーって、色気ないなぁ。」
「色気なんて無くていいですから!離してください。」
「気にしない気にしない。」
俺の言葉にも一切動じず先輩は笑顔で抱きしめたまま左手を少しずつ下へ移動させると俺の尻を撫で回す。
あーもう、この人は…。
財布を拾ったあの日、初対面の時は爽やかな人だと思っていたら腹黒いことが分かった。
それだけならまだ良かったがあれから偶に会うとセクハラ紛いなことをされるようになっていた。
つまり爽やか王子は腹黒王子へ、そして最終的にセクハラ王子へ進化した訳だ。
「あ〜俺の好きな匂い…草太、やっぱり俺のこと意識してる?というか誘惑してるでしょ?」
俺の首の匂いをくんくんとかぎながら先輩は言う。
はぁ、くすぐったいと思いながらもこんなセクハラに慣れつつある自分が悲しくなる。