平凡アワー
□平凡アワー その1
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「な、無い…。本当に無い。」
整理整頓が苦手な俺の部屋はごちゃごちゃしていた筈なのに、今は部屋の隅から隅まで見渡せる位にすっきりしている。
「マジかよ…。」
あまりのショックに膝から崩れ落ちしばらく放心状態になった。
母さんが自己中なことは知っていたがまさかここまでするとは…。編入って本気で言ってたのか。
この時点で俺は諦めに似た感情を抱き始めていた。
今まで母さんに抵抗して勝てた例が無い。だからどうせ今回も無理だろうし。
はぁ、編入するしかないのか…。
正直納得はできない。半強制的に編入を決められてしかも男子校なんて…でも母さんには勝てない。
いや、もっとポジティブに考えよう!編入するにしても爺ちゃんに会えるし、全寮制だけど彼女なら外でつくればいいんだ!!
だから問題ない…た、たぶん。
そう言い聞かせるしかなかった。