平凡アワー
□平凡アワー その15
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気がつけばふられてから一週間近く経っていた。
明けない夜はない、止まない雨はない。そんなどこかで聞いたようなポジティブな言葉を頭の中でひたすら繰り返してみたけど、まだ悲しみは癒えない。
「おはようー。」
「源三おはよう!今日もいい天気だな。」
でもいつまでも落ち込んでいられないから、前向きになろうと努力している。
…まぁ結局は空元気なんだけど。
「草太〜大丈夫?まだ辛いんじゃない?」
源三には蒼井にふられたことを話していた。といってもあの日寮に帰ってきた俺があまりに元気がないからどうしたんだと問い詰められたから話したんだけど。
簡潔に蒼井にふられたということだけを話すと最初源三はそんな筈ないと信じてくれなかった。
でも蒼井が淳を好きになったことを話すとようやく信じてもらえた。
どうやら蒼井と淳の仲が良いことは学園で有名だったらしい。
「本当酷いよね。蒼井君あんなに草太好きって言ってたのに。」
「いいんだよ。誰だって心変わりくらいするし。それにもうふっきれたから。」
当然嘘だ。でもそう言い聞かせるしかない。
「草太ぁ」
「はいその話は終わり!私、泉草太はこれから色恋などではなく勉学、運動に励みます!」
「でも」
「よーし行くぞー!」
何か言いたそうな源三の腕を掴んで走り出す。
とにかく今は強がって、笑って、進むしかない。