平凡アワー
□平凡アワー その6
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親衛隊に拉致されるなんてとんだ災難だったが、俺が出る競技は午後に固まっていたおかげで特に問題なく体育祭は進んだ。
そして現在昼休み。俺達は昼飯について話し合っていた。
「なぁ、どこで食う?」
「食堂行きたいんだけどこういう行事の時はみんな一斉に行くからすごい混むんだよね〜。購買もあるし…委員長はどう?」
「泉が行きたい所がいいだろう。席が無かったら俺が退かすから安心してくれ。」
ニッコリと笑う委員長はかっこいいんだけど、明らかに言ってること間違ってるから。そんなことされたら確実においしく食べれないって。
「おいメガネ、くだらねぇこと言ってんな。時間がもったいねぇんだよ。」
俺が苦笑いをしている横から眉間に皺を寄せた蒼井が口を出した。
「くだらないだと?俺は本気だ。どうせ人を本気で好きになったことがない貴様にこの気持ちは分かるまい。好きになればその人の為に何でもしたくなるものだ。」
「あ"ぁ?何様のつもりだ!?大体なぁ、てめぇのしてることはただのお節介で迷惑なんだよ、いい加減気づけ!」
「ちょ、ちょっと二人とも!」
蒼井と委員長の一触即発な雰囲気に源三が泣きそうになりながらも宥めようと頑張っている。
あ〜あ、やっぱ蒼井を連れて来たのはまずかったかな。
助けてもらったお礼がしたくて俺のなけなしの金で昼食(四百円以内)を奢ってあげようと思って誘ったんだけど…どうやら委員長と蒼井は犬猿の仲のようだ。