遙葉書
□繋想
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「なら、こっちからこう回って、背後から攻めたら━━━…ッ」
コツン。
何て、ことだ━━…
九郎が地図上のある地点を指し示そうと身を乗り出したら、不覚にも右手が弁慶の左手にぶつかってしまった。
俺は、俺は…
どうしたら良いんだ
弁慶の手に
触れて、しまった
顔が一気に熱くなるのが手に取る様に分かった。ぶつかった部分から、弁慶のひんやりとした肌の感触が伝わってきて…
「…す、すまんッ////」
慌てて手を引っ込めた九郎を、キョトンとした表情で見つめる弁慶。
「どうしたんですか、いきなり。顔が赤いようですが…」
「な、何でもない気のせいだ」
しどろもどろになりながら、必死で平静を取り繕うが、上手くいかない。
火照った頬は余計に熱く紅潮し、焦る気持ちが呂律を狂わす。
「…今日は、やめておきますか?少し休んだ方が良いかもしれません」
弁慶が心配そうに声を掛けた。
そして、熱を計ろうとしたのか、不意に九郎の額に自分の額をくっつけて━━━…
「…━━━━━━ッ/////」
心臓が、止まるかと思った
本当に止まらなくて、良かった
間近に迫る弁慶の顔に、心臓が早鐘を打つ。