遙葉書

□約束
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吉野の里にて、一度別れた将臣と再び合流した望美一行。
ある一軒家で握り飯の相伴に預かっていた。
嬉しそうに頬張りながら望美はヒノエの首に下がる紅玉の首飾りに目を留めた。

「ヒノエ君の首飾り綺麗〜その紅い宝石何?」

「これかい?これは只のガラス玉。磨いてもないから汚れてるけど」

「何で磨かないの?もっと綺麗になるのに」

「…なんかさ、磨いたら効力落ちちゃいそうじゃん。これ、俺にとっちゃ『約束』だからさ」

「…約束?何それ」

望美が首を傾げる。
その矢先、俄かに周辺が騒々しくなり、1人の農民が家に転がり込んできた。

「…野党だ!野党が村を襲いに来た!!」

突然の出来事に一同は喫驚したが、直ぐに外へ飛び出し状況を確認すると、臆することなく野党に立ち向かっていった。
唯独り、彼を除いては…

弁慶は小高い丘に静かに佇み、無言で戦況を見つめていた。
村が焼かれ、人々が斬られても、顔色一つ変えずに観戦している。
否、寧ろその場をまるで抉り取るかの様に冷徹な眼差しを投げ掛けていると言った方が正しいのかも知れない。
闘争に集中している中、弁慶のその姿に気付いた者が1人いた。

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