惨躱し編
俺は知らなかった。
自分より異常な世界で生きてきた少女がいたなんて。
俺は知らなかった。
自分よりも遥かに小さな少女が幾度となく悲しみ、嘆き、苦しみ、泣いていたなんて。
俺は知らなかった。
自分勝手な人間が、こんなにも誰かを大切に想えるなんて。
守りたい。
助けたい。
救いたい。
俺が生まれた事に理由があるのなら。
俺が生きる事に価値があるのなら。
俺が努力する事に意味があるのなら。
終わらせたい。
今も鳴り響く、大切な仲間達の悲鳴を。
取り戻したい。
俺の世界を眩しく彩る、あの笑顔達を。
だから………全てを断ち切る。
そう決めた。
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