木枯し編
大切なモノがあった。
それはとても美しくて、輝いていて。
まるで宝石のように綺麗な光。
…でもそれは、小さくて儚くて。
淡い灯りは、吹けば消えてしまいそうで。
大切にしていたけど。
…気付いた時には、もう手遅れで。
こんなにも大切なモノなのに。
絶対に失いたくないのに。
俺は、自分の手でそれを
……砕いてしまっていた。
砕け散った破片を
必死に拾い集めるけど。
一度壊れたモノは
もう元には戻らない。
セロハンテープで貼り付けてみた。
…またすぐに壊れてしまう。
接着剤でくっつけてみた。
…形は戻っても、輝きは戻らない。
涙が溢れて、止まらなかった。
それは本当に大切なモノだったから…。
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