短編小説
□ゴミ山に咲く花
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「……………あれ?」
俺は目の前に広がる光景が信じられず、ただただ首を傾げていた。
……いや、信じられないのは目の前の光景じゃない。
俺自身のトランプの弱さだ。
「J、K、K、A、A、2、2、2、ジョーカー………なんで負けるんだ?」
いま言ったのは俺の手札。
いまやっているのは大富豪。
「いったいどうすればその手札で負けれるんだよ……?」
圭一が驚きを通り越して呆れたように俺を責める。
「ほ、ほら!
聖人くんトランプ苦手だからしょうがないよ!」
レナがフォローしてくれるが、俺のガラスのハートは傷つくばかりだ。
「をーっほっほっほ!
相変わらずトランプにおいてはザコでしてねぇ、聖人さん?」
……は、ハートが砕け散ったぁぁ!!
「さぁて……これで10戦10敗だね。
聖人、今日の罰ゲームは何だったっけ〜?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、我らが部長・園崎魅音が俺に問いかける。
この野郎、絶対わかってて言ってやがるな……。
「ビリの人が魅音にジャーマン・スープレックスを決める。」
「違ぁ〜う!!
一位がビリに一個命令でしょうが!!」
いつになく嬉しそうな顔がムカついたので抵抗を試みたが、やはりバッチリ覚えていたようだ。
「わかってるよ。
で、一位は誰だっけ?」
全身で不機嫌を表現しながら尋ねた。
どーせいつも通り魅音が……
「今日の一位はレナなんだよ、だよ。
はぅ〜♪」
………あれ?
レナが一位?
じゃあなんで魅音はこんなに嬉しそうなんだ?
いつもなら負けた時はこの世の終わりみたいに落ち込むのに。
………俺は魅音を観察してみる事にした。
笑顔だよな、うん。
いつもみたいにニヤニヤしてて、眉間にシワ寄ってて、額に青筋浮いてて、歯を食い縛ってて……。
あぁ、ちゃんと悔しがってるわ。
「じゃ、じゃあ、命令してもいいのかな、かな?」
レナがオドオドしながら聞いてきた。
俺は部活で負けたんだ。
まぁしょーがないさ。
頷き、次の言葉を待つ。
「あのね、レナね、……欲しい物があるの。」
………こいつ、貢がせる気かッ!?