血色の闇
□序章
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月明かりに照らされた教会の墓地に、彼…レディアは立っていた。
「ゔぇ…不味い…」
口元から滴る赤い液体を拭ってレディアは呟く。
レディアの足元には沢山の死体が山積みにされている。
「いつも思うけど…貴方って我が侭よね、レディー」
物陰から現れた女性…リィナがそう言った。
その途端にレディアの目が怪しく光り、リィナを睨み付ける。
「ボクをその呼び方で呼んで良いのは彼女だけだよ」
全く、何度言ったら分かるんだい?と忌々しげにレディアは言う。
「若輩者が生意気な口をきくなんて賢くないわ。
そういう子は嫌いよ」
リィナは笑顔でレディアの首を絞めた。
だが、レディアは顔色一つ変えずに平然としている。
「誰かいるの?」
二人の背後から小さな声がした。
恐らく、この教会の人間だろう。
「フフッ…おいしそうな仔ね」
リィナはレディアの首から手を離すと、舌舐めずりした。
「…変態。
君の近くに居たら、ボクも変態扱いされそうだから帰るよ」
まぁ、精々楽しんでね。
そう付け加えると、彼は姿を消した。
「フフフ…ねぇ、そこのお嬢さん」
リィナは笑顔で先程の声の主に近づく。
「貴女… は好きかしら?」
「…い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
リィナの目が怪しく光り、墓地に少女の叫び声が響いた。