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□夜中の出来事
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「紗良ぁ…」

怯えた声をあげて阿実は紗良にしがみつく。

ピシャンッ!!!

「っ!!!」

「…はぁ……」

紗良にしがみつく阿実の手の力が僅かに強くなった。
阿実は体を丸めて、瞼を固く閉じている。

「お前さぁ…雷と虫だけはホント駄目だよな」

紗良が言う。

「だって虫ってキモイし、雷怖いじゃん…」

阿実は拗ねたように言い返す。
だが、体は紗良にしっかりとくっつけている。


「それに、今日の天気予報のせいだよ」



【今日の天気は晴れです。
一日中快晴が続くでしょう。】


今朝の天気予報ではそういわれていた。
なのに、午後になると急に天気が悪くなった。

それだけで阿実にとっては充分最悪だ。

でも更に運が悪いことに、阿実は学園寮の紗良の部屋に遊びに来ていた。
紗良の部屋から帰ろうとした時には雨が降り、雷が鳴り始めていた。

そして雷が嫌いだということと安全を考慮して、阿実は紗良の部屋に泊まることになったのだった。


ピシャンッ!!!


「〜〜〜〜っ!!!」

「阿実」

紗良の声に阿実は顔をあげる。

「…なに?」

「怖いなら来いよ」

紗良は僅かに腕を広げる。


「ほら」


阿実は紗良に抱き着いた。
紗良はそっと阿実を抱きしめる。


「紗良」

「何だ?」

阿実は紗良の肩に顔を埋めて、紗良の耳元で囁く。


「…ありがと」


耳元で囁かれて内心ドキドキしたことは、阿実にも言えない紗良の秘密だ。

紗良は阿実を抱きしめる力を強めたが、阿実はいつの間にか眠っていて気付かれなかった。




の出来事

(この体勢で寝るって…色々キツイな)

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