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□nostalgia memory-2
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校則・生徒心得

(前略)

9.寮生活について

(1)―――――――――
(2)―――――――――
(3)余程の理由が無い限り、定期的に実家へ帰省しなくてはならない




「…って事だからお前ら、今週の週末は実家帰れ」

紗良、桂太、蒼紫にとっての(ある意味)死刑宣告。

「笑えねーよツルハゲ」

ツルハゲ。
本名は鶴田 光。

頭がハゲだということと、名前のもじりからツルハゲと呼ばれている。

彼は星華の生徒指導を行う教師で、四人のクラスの担任だったりする。

「…何だと?斎藤」

「冗談はよせって。
実家に帰んなくていいの間違いだろ?」

と紗良。

「いや、ツルハゲ帰れって言わなかった?」

「阿実さん、現実を見てはいけませんよ」

蒼紫は阿実の肩に手を置いて、明後日の方向を見つめている。


「話しを聞けよ、お前ら。
実家帰れ…」
「うっせーよ、このハゲ」

桂太が言う。

「俺らがごねるなんていつものことだろ?
教師なら寛大に見守れよ」

と紗良が加勢する。

「確かに。嫌なら嫌でいいじゃん」

と阿実。
だが、阿実は寮生ではないので実家に帰る必要はない。

「お前らはそれでいいだろうが、教師はそうはいかないんだ」

「それは貴方達のご都合ではありませんか?」


「だけどな…」








週末。

なんだかんだでツルハゲに言いくるめられた三人は実家に帰ることになった。


「…何でお前らは俺の実家に来んだよ」


紗良が明らかに嫌そうに言う。

「別に良いでしょ?皆で騒げた方が楽しいし」

「久々にゴジラ先生にも会いたいしな」

「実家に帰る事が面倒なんです」

と三人が言う。

「それに阿実、翼は文句言わねーのか?」

「うん。紗良の家なら良いって」

紗良の質問に阿実は笑顔で返す。

「ほら紗良さん、玄関前で立ち話も難ですから鍵を開けて下さい」

「…はぁ」

ガチャ

紗良が渋々鍵を開けようとすると、先に内側から鍵が開いた。
「さーちゃん、おかえりぃいぃぃぃっ!!!!?

「うっせーよクソ親父」

登場早々から地面に突っ伏しているのは通称「ゴジラ先生」。

本名は木立未来。
紗良の父親である。

彼の声が後半から悲鳴に変わったのは、紗良の拳が彼の鳩尾に当たったからだったりする。
これはこの親子のいつものこてなので、周りも別に気にしない。

「先生…大丈夫ですか?」

地面に突っ伏した未来の近くにしゃがみ、阿実が訊く。

「ああ…大丈夫だ。
久しぶりだな阿実ちゃん、桂太と蒼紫くんも」

「俺と蒼紫はついでっスか?」

といつもの調子で桂太はおどける。

「確かに…少し気になりますぬ」


「そりゃまあ、阿実ちゃんはさーちゃんの…」


「その話しはもうすんなって言っただろ」

未来が何か言いかけたが、紗良はそれを遮った。

「阿実さんは紗良さんの…なんですか?」

蒼紫が未来に訊く。

「さあ?」

未来はニヤリと笑って誤魔化すと、「道場へ行ってくる」と家を後にした。




「あみね…――――――」
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