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□Happy? Birthday
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ルシフェルに入ってから怖くなったことがある。
でも、恐れるものがあるのは、人間なら普通のことだと思う。
だが…
自分の誕生日が怖いってのは、どうなんだろうか?
…ついでに言う。
今俺のこと馬鹿って思った奴、腹切れ。
「誕生日おめでとう」
この一言でもあれば、まだマシなのにな。
俺をさしおいて盛り上がってるこの状況はなんだ。
「ったく…日本酒無ぇのか日本酒!!」
「彼方お前まだ未成年だろ」
「お前も人のこと言えないだろ!
手に持ってるビール瓶はなんだよ!」
「ビールじゃなくて、子供の飲み物だ」
「翼…アンタまだ酒飲めないの!?
いい加減飲める様になってよ!!!」
阿実が翼を殴る。
翼の手から離れたビール(子供の飲み物)の瓶がこっちに飛んでくる。
パリンッ
俺の顔の真横で、瓶は壁に衝突して砕けた。
でも、誰一人として気付かない。
「榴(リュウ)、榴はあんな馬鹿になっちゃ駄目よ?」
「わかったよっ。桜ちゃん」
「お姉ちゃん、でしょ?」
「お姉ちゃんっ」
一方で、翼VS彼方&阿実の乱闘が始まる。
辺りに銃弾が飛び交う。
翼が投げたナイフが壁に刺さる。
ラーグが乱闘に加わる。
それまで傍観して笑ってた六羅も乱闘に加わる。
ヘムが乱闘を止めにはいる。
(ヘム、そのまま止めてくれ)
呆れつつフェルも乱闘に加わる。
続いてヘムも。
乱闘は余計に白熱する。
桜とリンドも乱闘に加わる。
乱闘はもうバトルロワイヤルだ。
誰と誰が味方で、敵なのか分からねぇ。
「ねぇ瑠璃弥」
「…何だよ」
乱闘に取り残された榴太がこっちにきた。
「涙目だけど大丈夫?」
「は?」
「皆が言ってる、「瑠璃弥はヘタレ」って本当?」
俺がヘタレ?
この俺が?
「違ぇよ!!」
少し強く言うと、榴太は肩を震わせて涙目になった。
どっちが涙目だよ。
「お姉ちゃんっ!!
瑠璃弥が怖いよぉっ!!!」
榴太は大声で叫んだ。
しかもそれは乱闘中の桜の耳に届いたらしい。
桜は般若の様な形相でこっちに走ってくる。
…ついでに乱闘に参加してる奴等も引き連れて。
「榴に…っ何してるのよ、このヘタレ野郎!!!!」
物凄い速さで桜のヌンチャクが飛んでくる。
ヌンチャクは俺の顔を掠めて壁に突き刺さった。
桜が俺に歩み寄る。
そして、壁に刺さっているヌンチャクを引き抜いた。
「ねぇ瑠璃弥、覚悟はできてる?」
口元は笑っているが、目は笑っていない。
「るーも乱闘殺ろうよぉ」
悪魔の声が聞こえた気がした。
Happy? Birthday
(全然幸せじゃねーよ!!…とは言い切れない、かもしれない)
(全員でばか騒ぎするのも、ある意味では幸せかもな…とか言うのは俺らしくねぇな)
(今は取り敢えず乱闘を止めるしかない…)