charm

□charm 6
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 結局あたしは黒島さんにオムライスを作ってあげた。

 冷蔵庫には本当に何もない。ビールと牛乳にチーズが何個か。

 外食ばかりしているのだろうか・・・



「じゃあ、説明の続きだね。これは・・・陣を描く為のチョークだ。
 
 ロッドに慣れてない人はこれでいろいろな陣を描くと攻撃系の技から移動まで色々出来ちゃうんだね。

 ロッドを使うのは結構力が要るからさ。」


「へぇー。陣ですか・・・封印はどうやってやるんですか?」

「封印には図鑑のはじめに書いてある「聖なる者へ」という長い詩を読むんだ。

 これは人間界にある言葉じゃなくてね、祓いになる為の語学勉強にも含まれているよ。」


「うぅ・・・・難しそう・・・。」

「基本的なのを覚えれば応用、応用だよ!真衣未ちゃんならすぐ覚えるさ。ククッ 

 でもまだその詩を聞かせる訳にはいかないんだけどね。」


「えー、なんでですか?聞きたいのに・・・」

「真衣未ちゃんはまだ生命エネルギーの土台がしっかりしていない。ロッドを使うにも陣を描くにも

 もちろん封印にも多かれ少なかれエネルギーを消費するんだ。使い果たすと魂が無くなり、
 
 廃人と化してしまう。祓いくらいになると消費コントロールも出来る様になるし、

 よほどの戦いじゃなきゃ滅多にある事じゃないけど、まだ不安定な真衣未ちゃんの生命エネルギーじゃ

 私のエネルギーに押しつぶされてしまう。だから卒業まではまずエネルギー訓練をしてもらうよ。」



「そうなんだ・・・残念。そういえば属性って、どうわかるんですか?あたしのが知りたいだけなんですけど・・・・笑」

「うーん、完璧にわかるのはロッドを持ってからかな。ロッドの適正テストの時にわかるよ。

 簡単な攻撃呪文なんかをしてもらうと、微妙に属性がついて攻撃が変わるんだ。」



「まだまだ先の話か・・・・とにかく!そのエネルギー訓練頑張りますね!早く役に立ちたいですもん。」

「かなりのやる気だね、ククッ。じゃあ、早速少しやってみる?疲れるとは思うから、徐々に慣れるようにね。」

「やります!早い方がイイでしょ?」

「力まないでね。じゃあ始めるよ、ククッ。」


・・・・・・・・・・・・・・・



「まず、ボクと手をつないで。」

「え!?」

「何びっくりしてるの、ほら。」

 細い5本の指で右手が包まれた。

「つないだこと、ないの?ククッ」

「あ、あります!いいから続けてくださいよ・・・・」

「はいはい。いいけど真衣未ちゃん、真っ赤だよ?ククッ じゃあ、まずゆっくりボクのエネルギーを流していくよ。」

「あ、はい。」


 そう言って待っていると、なぜか自然と目を瞑ってしまった。

 手から少しずつ何か暖かいものが流れてくるような気がした。

 否、止まっていた血流が流れ始めたような、とても心地いい気分。

 どんどんその暖かい「何か」に体が奪われていった。


「はい、真衣未ちゃん、どぉだった?」

「なんか、暖かくて心地よかった・・・血が巡っていくみたいで。」

「その巡っていったのがボクのエネルギー。このままずっと包まれてたいような感覚にならなかった?」

「はい。このまんまでいいやぁ・・・・みたいな。」

「今度は、それを跳ね返すんだ。自我をめいっぱいぶつけて、ボクのエネルギーを押してボクの体に返す。
 
 それが出来るようになるのが第一目標。」

「跳ね返す・・・・イメージつかみにくいな。」

「イメージで言うと・・・そうだな、全部の血をボクとつないでる手に向けようとする感じ。

 エネルギーが体内を蝕む前の自分の核の気分を忘れないように手に集中するんだ。」

「が、頑張ってみます。」

「力みすぎると体壊すからね、行くよ?」


 まただ、またあの感覚・・・眠ってもいない、起きてもない

 本能が落ち着いてる・・・この感じにつつまれてたい・・・ケド・・・

 黒島さん言ってた。ジブンの核・・・ワクワクして、暖かい・・・この感じ、返さなきゃ・・・!!


・・・・・・・・・・・・・・・


ガタッ!


「く、黒島さん!どうしたんですか?びっくりした・・・」

「い、いや、ごめんね。少しだけどこっちに返ってきたよ。いい出来だ。今日はこれまでにしよう。」

「黒島さん、すごい汗。大丈夫ですか?なんか変に付き合ってもらっちゃって、ごめんなさい。」

「いや、いいんだよ。結構な大物になるかもね?ククッ」

「ホントですか?あたしこれだけなのに結構疲れちゃった・・・」

「そうか、じゃぁ今日はもう帰りなさい。」

「あ、はい。じゃぁ明日放課後に来ますね?」

「うん、待ってるよ。」

 そうしてあたしは事務所を後にした。


「なんだ?返ってきたときのあの感じ。初めてだった。私と同じく暖かかったが、あれは・・・・?

 わからない。ククッ いい子だ、実に・・・ね」




― To be continued・・・  ―

・・・・・・・・・・・・・・・

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