Masterof...

□水晶
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暁は何か恐ろしいものを見たかの様に黙って動かなかった





「・・・だから来るなと言ったであろう。」




「ごめんなさい・・・・け、怪我は?」




「問題ない。」




腕を捲くると 既に傷は癒えていた





「多少の傷ならすぐに癒える。それにあの程度、掠り傷の内にも入らない。」




「だって、すごい血が・・・」





「切れば血も出るであろうに。大体私は魔の神の下に仕えていた程の者だぞ。


 白の吸血鬼というのはそう簡単には死ねない・・・・」









そう言った時 気が付いた






目を逸らしてから、私が語りかけても暁はそれ以上目を合わせようとしていなかった












「・・・すまなかった。汚い物を見せてしまった。」







気づけば 顔も 手も 翼も 血で赤く染まっていた







「すまない、お前の服や顔を汚らわしい血で汚す訳にいかなかったのでな。」






暁が 一瞬顔を上げる












「折角の美しい身体が汚れてしまっては台無しだ。」












「ど、どうしてすぐに殺さなかったの?」




暁が頬を赤らめてまた目線を落とした







「? 戦いは三ツ星フレンチのフルコースと同等・・・それ以上の価値がある。


 まずいきなりメインディッシュは出てこないであろう?食事はゆっくりするもの。


 楽しく食べなければ美味なるものも不味く感じると良く言うではないか。」 









「・・・全く、心配したじゃない。」






「何だ?」








「・・・なんでもないわ、もう帰りましょう!」









 
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