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□待ち伏せ
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気が付いたら目で追っていた。
追った先でニヤニヤ笑っているメローネやらプロシュートやらと目があってイライラする事が何度かあってから、ようやく自分の行動を自覚した。

一度意識してしまうと、どうしても思考がそこから離れなくなる、というのはよくある事だ。あんまりガン見するなよ、ストーカーか俺は…と思っているのに眼球は自動的に彼女を追尾するのだから始末に終えない。外野のニヤニヤ笑いは次第にイルーゾォ、ホルマジオと広がっていきこの間などはリゾットに「頑張れよ」と言わんばかりに肩を叩かれた。くそ、どうしてこうなった。

彼女とは事務的な会話しかした事が無い。なんとか接点を作りたい、とも思ったが周りが鬱陶しくてどうにもならない。それにあれだ、…恥ずかしい。そんなこんなでイラつきが頂点に達し目につくあらゆる物を氷漬けにしていた時、メローネがやって来てある事を囁いた。



「あ、ギアッチョ」

穏やかな日差しのそそぐカフェテリアで、唐突に彼女と目があった。

「奇遇だねえ。こんな所で会うなんて」

「おう」

奇遇などでは無い。彼女が休みの日を見計らって彼女行きつけのカフェテリアで延々と時間を潰し、来るかも分からない彼女を待っていたのだから。この情報―彼女の休日の過ごし方、よく行くショッピングモール、その他もろもろ―を教えてくれたメローネがどこかでこの様子を見ているんだろうと思うと憂鬱になってくるが。

彼女はこちらの態度の不審さには気付かないようで、さっきどこそこで買い物をしていただのと楽しそうに話している。そういえばこんなに近くで彼女を見たのは初めてかも知れない。胃の辺りがひきつるような感覚に襲われたが、ここまで来てしまったらもう選択肢は一つしか無かった。意を決して俺は声をかける。

「…なあ、もし暇だったら…」







待ち伏せ








あとがき
遅くなりました。これで満足して頂けるかどうか…
個人的にギアッチョはすごいシャイです。1人で色々考えてうわあああってなればいいと思う。
最後までお読み下さりありがとうございました。


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