スマブラ短編
□その後の...
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「ウオォォアァーーーーーッ!!!!!!!!」
血に染まった様に紅い夕焼けのハイラル平原に、断末魔の叫び声が響く。
城下町に近い小高い丘のその上に、三つの人影が立っていた。
その内の一人は、腹部に深く剣が突き刺さり、今にも息絶えそうに、肩を大きく揺らしながら呼吸している。
「...これで全てが...ゼェ...終わったと....ハァ...思うなよ...」
力のトライフォースの宿主、ガノンドロフ。もはや虫の息となった彼は、それでもなお立ち上がり、対に立つ二人に不敵な笑みを浮かべた。
「.......」
その二人はガノンドロフの最期の姿を、ただ黙って見届けている。勇気のトライフォースの継承者、リンク。知恵のトライフォースの継承者、ゼルダ。
彼らを見つめ、ガノンドロフは続けた。
「ハァ...これが、光と闇の...血塗られた歴史の始まりだと思え...!!!!!!」
ガノンドロフは最期にそう言い放つと、それ以後立ったまま、首をダランと前に傾け、ピクリとも動かなくなってしまった。
「...ガノンドロフ...」
「.......」
悪の権化を打ち倒した二人の若者の話は、今後長きに渡り英雄伝説として語り継がれることだろう。
しかし、リンクとゼルダはどういうことか、ひどく心苦しい想いがしていた。それが何故なのかはわからない。だが、ガノンドロフの亡骸を見ていると、理解出来ない気持ちが込み上げて来る。
...悲しい。
二人の目からは、いつしか涙がこぼれていた。
「...何で?何でかな...!俺は、悪を倒した!世界は、救われた!なのに...何でこんなに悲しいんだよ!!!!」
「リンク...」
地面に両手を叩き付け、泣き叫ぶリンク。ゼルダはそんな彼を見ていられず顔を背けた。
ゼルダがふと、ガノンドロフの亡骸をもう一度見やると、彼の身なりには余り似つかわしくない物を見つけた。
「これは...?」
ゼルダはその物を彼の腰元からはずし、改めて近くで見つめた。
「道具袋...かしら。」
それは長旅をする者などが、旅に必要な物を入れておく革製の袋だったが、どうにも汚れている。まるで何年も使い古しているかの様だ。
何故ガノンドロフがこんな物を...ゼルダはそう考えながらその袋を眺めていたが、ここで奇妙な発見をした。
「L...I...N...K...
リ...ン...ク...!?」
その袋の片隅には、確かにリンクという名前が書かれていた。